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宇宙で大きなアンテナを広げるには、重い展開機構が要る――その常識を、折り紙の発想で崩そうとしている。東京科学大学は1月26日、折り紙技術で小さく収納し、軌道上で大面積に展開できる「宇宙展開型フェーズドアレイ無線機」を開発し、衛星搭載機器としての打ち上げに成功したと発表した。衛星通信が6Gへ向かう中、アンテナの軽量化はコストと普及を左右する要所になっている。
折り紙収納 膜面フェーズドアレイ無線機
同大の坂本啓教授、白根篤史准教授、岡田健一教授らの研究チームが開発したのは、柔らかい膜の上に構成したフェーズドアレイ無線機だ。打ち上げ前は折り紙のように折り畳んで小さく収め、軌道投入後に膜を広げてアンテナ面積を稼ぐ設計で、小型・軽量化を狙う。
課題は、膜が完全な平面にならない点にある。研究チームは、展開後の「非平面」を許容したうえで電気的に補償し、指向性を確保する方式を採った。フェーズドアレイは多数の素子の位相を制御して電波の向きを変えるため、衛星の姿勢制御に頼らずビームフォーミング(電子的な指向性制御)が可能になるという。
宇宙実証では、次世代衛星通信で利用が見込まれるKa帯や、5G/6Gで使われるミリ波帯を念頭に24GHzを用い、非平面の膜面上でもビームフォーミング特性を確認する計画だ。大面積アンテナを小型衛星に載せられれば、衛星コンステレーションの低コスト化にもつながるとしている。
RAISE-4投入 運用正常確認と実証テーマ
無線機は、JAXAの革新的衛星技術実証4号機「小型実証衛星4号機(RAISE-4)」に搭載された。JAXAによるとRAISE-4は2025年12月14日12時09分(日本時間)に、ニュージーランドのマヒア半島にあるRocket Labの発射施設からElectronで打ち上げられ、受信テレメトリで電力確保と地上通信が正常であることを確認した。
同機はその後、同月17日にクリティカル運用期間を終え、約2カ月かけて搭載機器の初期機能確認を進める段階に移った。JAXA研究開発部門の特設ページでは、RAISE-4の搭載実証テーマとして、サカセ・アドテックの膜展開構造物「HELIOS-R」や、東京科学大学のキューブサット「OrigamiSat-2」など複数のテーマが並ぶ。折り紙で収納性を高める発想は、衛星側の構造・電力・通信を同時に押し下げる“効率化の連鎖”を起こし得る。
衛星通信の普及を阻んできたのは、打ち上げ費用と端末・衛星のサイズが結び付く構造である。展開型アンテナを「硬さと精密さ」で成立させる路線では、軽量化に限界が出やすい。膜面という不完全さを前提に、電気的補償とビーム制御で性能を取り戻す考え方は、宇宙機の設計思想を“機械の精度中心”から“電波・計算中心”へ寄せる一歩になる。量産と運用ノウハウが積み上がれば、衛星ネットワークの主戦場は大型機の競争から、小型機を多数並べて最適化する競争へ、さらに加速していく。
