本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
政府、与党は2026年度中の制度導入をにらみ、市販薬に近い成分や効能を持つ「OTC類似薬」について、公的医療保険の枠は残したまま、通常の自己負担とは別に追加負担を求める方向で調整に入った。自民党と日本維新の会は2025年12月中の合意を目指し、水準と対象範囲の詰めを急ぐ。
「保険のまま負担増」が投げかける不安
OTC類似薬を巡る見直し論は、医療費の伸びが続く中で、医師の診察を必ずしも必要としない軽症や慢性の症状について、公的医療保険の関与の在り方を整理すべきだとの問題意識から出てきた。成分や効能が市販薬と近い医薬品が、処方を受けることで保険適用となる現行制度については、医療資源の効率的な配分や保険料負担の公平性の観点から、かねて課題が指摘されてきた。
こうした議論の対象となっているのが、いわゆるOTC類似薬だ。OTC類似薬は医師の処方を前提としながら、市販薬と近い成分や効能を持つ医薬品を指す。現行制度では公的医療保険が適用され、患者の自己負担は1〜3割に抑えられているが、検討されている見直し案では、保険適用を維持したまま、通常の自己負担とは別に追加負担を求める仕組みが想定されている。負担の形式としては、選定療養など既存の枠組みを活用する案も俎上にある。
見直し論が広がった段階から、患者側は「保険から外れる」最悪の想定を抱えてきた。テレビ朝日系の報道では、難病の治療で使う薬が適用外になれば年3万円程度が82万円規模に跳ね上がるとの試算も示され、適用維持を求める要請が厚労省に出た。追加負担にとどまるとしても、慢性疾患では積み重なりが重い。
政府内の議論でも、子ども、慢性疾患の患者、低所得者への配慮は前提に置かれている。一方、負担増が先に立てば受診控えを招きかねず、医師の診断や継続的な医学管理の意味が薄れるとの懸念も出る。制度が「どの人に、どの場面で」上乗せするのかが、家計と医療行動を左右する。
焦点は薬の線引きと、合意後の実務
OTC類似薬を巡っては、2025年6月の骨太方針と同時期の自公維の合意文書で、年末の予算編成過程で検討し、早期に可能なものは2026年度から動かす工程が示された。その後、厚労省の医療保険部会でも論点整理が進み、薬そのものを一律に保険外へ追い出すのではなく、枠内で別途負担を求める考え方が強まった。
ただし実務の難所は、対象の定義にある。成分が一致していても用法、用量、対象年齢、剤形が異なれば単純な置き換えはできず、医療現場では「市販薬で代替できるか」を個別に判断してきた。部会資料でも、代替時の負担増が大きい例や、急激な変化を避けるべきだという意見が並び、線引きの粗さが制度への反発に直結し得る。
自民党と維新が12月中に枠組みで折り合っても、患者が納得できるのは、対象リストと上乗せ水準、例外扱いの範囲が見えた段階だろう。削減効果を優先して広げれば暮らしが先に痛み、絞りすぎれば保険料抑制の根拠が薄れる。制度の成否は「負担の説明責任」と「守る人の具体像」を示せるかにかかっている。
