ペルー大統領選の有力候補が銃撃　ベラウンデ氏は軽傷で無事

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2025.12.03

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ペルーで2026年大統領選への出馬を目指す人民自由党（Libertad Popular）のラファエル・ベラウンデ党首（50）が2日、リマ南方の海岸町セロアスルで乗っていた車を銃撃された。複数の弾丸がフロントガラスを貫いたが、本人はかすり傷程度で命に別条はない。血のにじんだ白いシャツ姿が写真で拡散され、総選挙を4カ月後に控える国で、「選挙と暴力」は誰にとっても身近な不安になりつつある。

海辺の町で候補者が襲われた日常の崩れ方

事件が起きたのは2日午前、リマから約150キロ離れた観光地セロアスルの道路上だった。ベラウンデ氏の車両の前にバイクが近づき、運転席側のフロントガラスにほぼ一直線に3発の銃弾が撃ち込まれたと治安当局は説明する。砕けたガラスの破片が顔などに当たり出血したものの、銃弾そのものは外れていたとされ、「助かったのは幸運だった」との受け止めが広がった。

同氏は選挙準備の合間を縫ってたびたび町を訪れており、この日も短時間の立ち寄りのはずだった。海辺のレストランや商店では、銃声に続いてサイレンが鳴り響き、驚いた住民や観光客が路地へと避難したと、RPPラジオなど地元メディアは伝えている。普段は家族連れでにぎわうリゾート地で起きた攻撃は、「政治家だけでなく自分たちも標的になり得る」との恐怖を静かに残した。

ベラウンデ氏は、ビスカラ政権で鉱山・エネルギー相を務めた経済学者で、人民自由党を率いる大統領候補だ。支持率は現時点で一桁台にとどまるが、祖父が元大統領という家系と、汚職追及や治安強化を訴える姿勢で一定の注目を集めてきた。まだ正式な候補者登録前の段階で狙われたことで、「知名度や勢力の大小にかかわらず、誰もが危険にさらされている」と感じる地方政治家も少なくない。

治安悪化と選挙の行方、問われる候補者の安全

今回の銃撃が重く受け止められているのは、2026年4月12日に予定される総選挙に向け、ペルー全体で暴力と犯罪が急速にエスカレートしているためだ。スペイン紙エルパイスによれば、ジェリ政権発足後わずか2カ月足らずで殺人事件は約268件に達し、2017年以降で最悪水準とされる。治安対策を看板にする候補者が、逆に犯罪組織や利害関係者の敵として浮かび上がる構図がある。

数日前には、北部ピウラ州で左派系政党「フンタス・ポル・エル・ペルー」の候補者ペルシー・イパナケ氏が、バイクに乗った複数の男に銃撃され死亡した。同氏が汚職や麻薬組織の問題を公にしてきたこととの関連も取り沙汰されており、「政治家への攻撃」が個人の恨みや偶発事件ではなく、組織犯罪と政治が交錯する文脈の中で起きている可能性が指摘されている。地方での選挙戦は、候補者だけでなく支援者や住民をも巻き込む危うさを帯びる。

ベラウンデ氏への攻撃については、国家警察が防犯カメラ映像や弾道分析をもとに犯人像の特定を急いでいる。当局は「候補者は無傷で、必要な法的手続きを進めている」と説明するが、動機や背後関係はなお不透明だ。各党からは候補者警護の強化や、地方遊説での安全基準づくりを求める声が上がる。近年メキシコやエクアドルでも選挙候補者の殺害が相次いだように、民主主義のプロセスそのものが暴力の標的となる傾向は南米全体の課題でもある。

海辺の町で候補者が襲われた日常の崩れ方

治安悪化と選挙の行方、問われる候補者の安全

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