ロシア大統領府報道官ペスコフ、ウクライナ東部撤退要求 支配地域縮小を警告

停戦条件に撤退要求、ロシア大統領府がドンバスで譲歩迫る

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ロシア大統領府のペスコフ報道官は2025年12月29日、ウクライナとの停戦や和平に進む条件として、ウクライナ軍が東部ドンバス地方の未占領地域から撤退する必要があるとの立場を改めて示した。交渉がまとまらなければ、ウクライナ側の支配地域がさらに縮む恐れがあるとも述べ、先に譲歩を迫る形を鮮明にした。

前提に据えた「撤収」 最前線の地図が意味するもの

ドンバスはドネツク州とルハンスク州を指す。ペスコフ氏は、停戦に必要なのは「行政境界に沿ったドンバス」からウクライナ軍が下がることだという趣旨で説明したとされる。Reutersは、同氏がザポリージャ州やヘルソン州など他の係争地域の扱いには踏み込まなかったとも伝えた。

撤退要求は、前線を数キロ動かす話ではなく、州境単位での支配を前提に置く点に特徴がある。前線付近では住民の避難や行政機能の移転、補給路の付け替えなど、軍事以外の手間も連鎖する。交渉の入口で「どこまで引くか」を固定しようとする動きは、現場の時間表にも直結する。

米主導の和平案と、残るすり合わせの難所

和平を巡っては米国が枠組み作りを急いでいる。AP通信は、米側がウクライナに最長15年の安全保障を用意する案が検討されていると報じた。Reutersによると、ゼレンスキー大統領は和平案を国民投票にかける可能性に言及し、その準備には最低60日程度の停戦期間が要ると主張している。

論点は、停戦の設計が「撤退を先に確約する形」になるのか、それとも「現状の接触線でいったん止める形」になるのかだ。欧州連合(EU)側は国境を力で変えない原則を改めて確認している一方、ロシアは撤退を入口に据える。安全保障の約束と領土の扱いをどう交換し、どの期間の停戦で国民投票などの手続きを可能にするのかが、年明けの協議の具体的な難所になりそうだ。

参考・出典

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