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国際標準づくりに戦略的に関わろうと、政府は官民連携の新枠組み「官民ハイレベルフォーラム」を近く立ち上げる。内閣府と経団連が事務局を担い、2026年1月にも初の総会を開く予定だ。技術の優位を市場の勝ち筋へつなぐ「舞台裏」を、官民で組み直す。
「標準」が現場のコストと商機を決める
国際標準は、ひとことで言うと世界で通用する仕様や評価の物差しだ。製品の安全や性能の示し方が標準で決まれば、企業は開発から認証、調達までをその物差しに合わせて動かすことになる。裏を返せば、標準を握れなければ技術があっても採用条件を満たせず、商談の入り口で弾かれる懸念が残る。
経団連は、水素やアンモニアのように国際標準が整備途上の分野では、先行されると「技術で勝ってビジネスで負ける」事態が起こり得ると問題意識を示してきた。産業界の側にも、どの分野で標準提案を厚くし、どこを自社の強みとして守るかという線引きが迫られている。
司令塔を官民で共有し、優先順位を付ける
フォーラムは、標準化を「担当部門の仕事」から、経営と政策が同じテーブルで扱うテーマへ引き上げる狙いがある。内閣府が持つ総合調整の役割と、経団連が束ねる業界横断の視点を重ね、標準提案や人材投入の優先順位を揃える。総会が2026年1月に設定されるのは、議論を先延ばしにしないという意思表示にも見える。
「新たな国際標準戦略」を実行に移す試金石
背景には、国際標準を国家戦略として扱い直す政府方針がある。内閣府は2006年以来の「新たな国際標準戦略」の策定を進め、2025年4月には意見募集も行った。さらに2025年6月3日には「知的財産推進計画2025」と合わせて新戦略を決定しており、今回のフォーラムは、紙の戦略を実装へ落とし込む運用装置になれるかが問われる。結局のところ、会議体が増えるだけで終わるのか、企業の現場が使える打ち手に変わるのかが、最初の総会で試される。
