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赤沢亮正経済産業相は12日の閣議後会見で、次世代半導体の量産を目指すラピダスに対し、国内メガバンク3行が融資の意向表明書を提出したと明らかにした。意向書が発出されていることを把握していると述べ、政府としても金融面を含めて支援を続ける姿勢を示した。急ピッチで進む巨額投資を、官民がどう分担し日本の半導体産業の再建につなげるのかが焦点となる。
メガバンク3行が動く背景、埋まらない資金ギャップ
時事通信やJapan Timesの報道によると、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行は、2027年度以降にラピダスへ最大約2兆円を段階的に融資する方向で協議している。今回の意向表明は、政府系金融以外では初めての本格的な融資枠となる見通しで、金利や担保、保証の取り扱いなどを巡り、政府やラピダスとの詳細な詰めの交渉が続いている。
ラピダスは北海道千歳市で2ナノメートル世代の半導体工場を建設しており、設備投資や研究費を含め総額5兆円規模の資金が必要とされる。政府は補助金や出資で1兆7千億円超を支える一方、それでもなお数兆円の資金ギャップが残るとみられている。長期にわたりリスクを取る融資を民間銀行が担えるかどうかは、日本の金融システムが成長分野を支えられるかを測る試金石でもあり、今回の意向表明はその第一歩と言える。
政府保証と巨額補助、官民でリスクと成果をどう分けるか
政府は2025年度に8025億円の追加支援を決定し、補助金と出資を合わせた公的支援額は最大1兆7千2百億円規模に達する見通しだ。情報処理推進機構（IPA）による投資や債務保証を通じて、民間金融機関が過度な信用リスクを負わずに資金を供給できる仕組みも整えつつある。経産省は、巨額支援の条件としてラピダス株に拒否権付きの「ゴールデンシェア」を持つ構想を示しており、資金面だけでなく企業統治の在り方も官民で共有しようとしている。
一方で、政府が資金とガバナンスの両面で深く関与することは、民間の自律性や投資家のリスク認識にも影響を与える。IBMや欧州研究機関との連携を進めるラピダスは、27年の量産開始や米IT大手向けの受注獲得を視野に入れるが、世界ではTSMCやSamsungが先行しており、技術・採算両面の不確実性は大きい。メガバンクの融資と政府保証が重なる構図のなかで、将来の利益がどこまで国内産業や地域経済に還元されるのか、逆に損失が生じた場合に誰がどの程度負担するのかという「分け前と責任」の線引きが、今後の最大の論点となる。
参考・出典
- Three megabanks eye loans of up to ¥2 trillion to Rapidus
- Rapidus Corporation
- Japan earmarks another ¥802.5 billion for chip startup Rapidus
- Japan to inject hefty funding for chipmaker Rapidus
- Japan approves 590 billion yen in subsidies for chipmaker Rapidus | The Asahi Shimbun: Breaking News, Japan News and Analysis
