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連立離脱の余波が残る永田町で、14日夕、自民党の船田元・元経済企画庁長官が一歩踏み込んだ。「政局が前にも後ろにも行かない状況になったときの選択肢として、総裁選をやり直す手段は捨ててはいけない」。公明党の離脱で与党運営が揺らぐ中、党内に新たな波紋が広がっていると映る。
揺れる与党内で浮上した「やり直し」論
船田氏は2025年10月14日、自民党本部で開かれた両院議員懇談会の後、記者団に対応した。発言は明確だったが、同時に抑制も効いていた。「必ずやれと言っているわけではない」と前置きしたうえで、行き詰まりの際に選択肢を閉ざすべきではないと強調し、政局の出口を探る姿勢をにじませた。
やり直しの具体像について問われると、高市早苗総裁の辞任を前提とするケースを挙げ、「高市氏がもう一回総裁選に出るということは当然あると思う」と語った。狙いは「顔」を替えることではなく、正統性の再確認にあるとの含みを持たせ、党内外の受け止めを試す一手と見える。
一方で、同日の懇談会では「けっこうヤジが飛んだ」と振り返った。「一応最後まで言ったが、途中でヤジが出た」と苦笑し、自らの提案を「私の意見はちょっと極端かな」と評した。やり直し論に同調する声は表立っては現れず、「私の独り言になってしまった」と自嘲気味に語る場面もあった。
党内力学と高市政権の行方
船田氏は石破茂首相に近いとされ、4日に実施された総裁選の決選投票では小泉進次郎農林水産相に投票したという。最終的に高市氏が勝利した経緯からは、石破・小泉ラインと高市陣営の綱引きがなお続く構図が浮かぶ。発言は、その力学の中で投じられた小石のように波紋を広げたとみられる。
党内で総裁選をやり直すには、総裁の辞任など「欠け」が生じることが前提になる。党則に照らせば、その場合は新たな選出手続きが動くのが通例で、両院議員総会や党員投票の組み合わせが焦点となる。船田氏の提起は、現行の枠組みの中で「政治的リセット」を図る現実的な導線を示唆したものだ。
もっとも、やり直しは長短を併せ持つ。正統性の再付与は効果的だが、短期的には党内の緊張を高め、政権の意思決定を遅らせかねない。現時点で確認されている範囲では、執行部は政策遂行の継続を優先しており、船田氏の提案は少数意見にとどまる。ただ、流れが止まれば再浮上する芽は残る。
公明離脱がもたらす現実的なボトルネック
公明党の連立離脱は、与党の基盤を直撃した。7月の参院選では自民39、公明8で計47議席にとどまり、目標の50を下回った経緯がある。選挙での逆風と連立解消が重なり、法案処理や予算編成の見通しは厳しさを増した。船田氏の「選択肢を捨てるな」は、このボトルネックをにらんだ現実論でもある。
連立の再構築、個別法案ごとの合意形成、あるいは党内刷新。選択肢はいくつもあるが、いずれも政治的コストは高い。高市政権が安定運航に転じるには、国会内の数の論理に加え、政権の「物語」を再設計する作業が欠かせない。党内の異論をどう吸収し、執行力へ変えるかが鍵になる。
14日の船田発言は、多数派形成に苦心する与党の現実を映す鏡でもある。強硬か穏健かという単純な対立ではなく、停滞を避ける「手段」の提示として捉えるべきだろう。政治の時間が止まる前に、何を優先し、どこで決断するのか。与党内外に静かな問いが投げかけられたと言ってよい。