韓国・ソウル地検がサムスン電子元役員ら10人を起訴 中国企業へ半導体工程流出で

中国流出で刑事責任、サムスン技術巡り韓国検察が起訴

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韓国のソウル中央地検・情報技術犯罪捜査部は2025年12月23日、サムスン電子が世界で初めて開発したとされる半導体の工程技術を中国メーカーに流出させたとして、元役員を含む10人を産業技術保護法違反などで起訴した。5人は身柄を拘束され、残る5人は在宅起訴となった。問われているのは、技術そのもの以上に「人が動く」ときの境界線だ。

競争力の源泉が漏れたとき、現場で起きること

今回の対象とされるのは、DRAM(パソコンやスマホの主記憶に使う半導体メモリ)の10ナノ級工程技術だ。微細化は、性能やコストを左右する「勝ち筋」になりやすい。検察は、流出が中国の長鑫存儲技術(ChangXin Memory Technologies、CXMT)の量産力につながった可能性を指摘する。クリーンルームの装置を前に、数%の歩留まり差を埋める試行錯誤が、外部に渡るかどうかで意味を変える。

検察は、サムスン電子が5年かけ、約1兆6000億ウォンを投じて確立した技術だと説明した。被害規模も「数十兆ウォン」に及ぶとの見立てが示され、単一企業の損失にとどまらず、国家経済の優位性に波及するという構図が強調された。技術流出のニュースが、部品の調達や価格に直結して感じにくいとしても、世界市場での位置取りが揺らぐ不安は残る。

転職の自由と機密の線引き、企業はどこで守るか

この事件が重く見られる理由は、人数の多さだけではない。検察は、偽装会社の設立や拠点移動、連絡用の符丁づくりなど、組織的に発覚回避を図った疑いを挙げた。データをコピーして持ち出すのではなく、手書きで書き写したとされる点も象徴的だ。退職時の端末チェックだけでは防げない抜け穴があることを、現場の管理者は突きつけられる。

一方で、半導体産業は人材の移動で回っている側面も強い。だからこそ、企業は「どこまでが経験で、どこからが機密か」を平時に言語化し、引き継ぎや情報アクセス権の設計まで含めて守りを作る必要がある。起訴は捜査の区切りにすぎず、裁判で事実認定が進むほど、企業のオフボーディング(退職時の手続き)や教育の弱点が具体化する可能性がある。

参考・出典

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