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秋の国会周辺に、新しい政権の気配が漂う。時事通信が2025年10月10日〜13日に実施した世論調査で、自民党の高市早苗総裁が首相に選ばれた場合の新内閣を「支持する」は43.8％に達し、「支持しない」23.0％を大きく引き離した。憲政史上初の女性首相誕生が視野に入る中、若年層と保守層に広がる期待が数字に表れたと映る。
若年層と保守層が押し上げた43.8％
支持の山をつくったのは、投票行動を左右しやすい若い世代だった。18〜29歳で「支持する」は58.0％、30代でも51.5％と過半を超えた。政権の顔ぶれが未確定の段階でも、この数字は「新しい何かへの期待」を物語る。政策の具体像が見えた後にどう推移するか、初動の熱量の行方が気になるところである。
政党横断では、保守系の支持層が鮮明に反応した。自民党支持層で66.4％、参政党は71.4％、日本保守党は72.7％が高市内閣を支持と回答した。一方で、与野党の間をにらむ橋渡し役として名が挙がる日本維新の会支持層は38.1％、国民民主党支持層は56.8％と、中道〜保守の間で温度差がにじむ。
連立離脱後の公明党支持層は、支持15.6％に対し不支持40.6％と明確に厳しい姿勢を示した。立憲民主党支持層も支持16.3％にとどまり、対抗軸としての距離感が改めて浮かぶ。期待の裾野は広がるが、旧与党間のしこりや野党支持層の壁も同時に見えている構図だといえる。
発足時の比較が示す「期待」と「課題」
支持率の比較は、空気の変化をはっきり映す。2021年10月発足の岸田内閣は40.3％、2024年10月の石破内閣は28.0％で船出した。今回の「高市内閣」想定の支持43.8％は、直近の新政権より明確に高く、20年代の政権発足局面では上位の水準とみられる。性別の歴史的転換点が「最初の一歩」を押し上げた光景が浮かぶ。
政党支持率にも地殻変動が続く。自民は前月比2.6ポイント増の19.7％で首位に戻し、参政は1.1ポイント減の4.8％ながら3カ月連続で野党トップを維持した。立憲民主は4.2％（1.1ポイント減）、国民民主は3.8％（0.4ポイント増）。以下、公明2.8％、維新1.8％、れいわ1.5％、共産0.9％、保守0.9％、チームみらい0.7％、社民0.6％となり、新旧勢力が拮抗する。
一方で、近く総辞職する石破内閣の支持率は25.1％（前月比2.6ポイント減）、不支持は48.2％（同0.1ポイント減）。退潮のムードが支配する中でのバトンとなる。期待先行の数字は、就任直後の組閣や初手の政策で容易に揺らぐ。高市氏が誰と組み、何から着手するのか。就任直後の一手が問われる局面である。
調査の作法と数字の読み方
今回の時事通信が行った世論調査は2025年10月10日〜13日に全国の18歳以上2000人を対象に個別面接で実施され、有効回収率は58.2％だった。小数点第2位を四捨五入しているため、各項目の合計が100％にならない場合がある。調査の作法は標準的で、対面方式ゆえの回答安定性が一定程度見込める設計だといえる。
ただ、数字は静止画にすぎない。2025年10月16日 15:06に公表された段階では、組閣人事や政策パッケージは確定していない。女性初の首相像に重なる期待も、実像が輪郭を現すにつれて具体と検証のフェーズへ移る。発足前の高支持は、蜜月の予告編に過ぎない可能性もある。
支持の地図には、世代・地域・支持政党の違いが濃淡を刻む。若年と保守の厚みは追い風だが、旧連立パートナーや主要野党支持層に広がる冷ややかさは課題として残る。初閣議までの数日、掲げる優先順位と連携の枠組みが、数字の先の現実を決めていくはずだとみられる。
