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島津製作所は12月3日、核融合発電施設向けのターボ分子ポンプ(TMP)試作機を、スタートアップの京都フュージョニアリングと組んで完成させたと明らかにした。トリチウム環境での使用を前提にした島津初の核融合向け製品で、カナダ・オンタリオ州チョークリバーで建設中の統合試験施設「UNITY-2」に設置し、2026年の試運転開始を目標に実機検証を進める計画だ。日本企業が、核融合ビジネスの心臓部となる燃料サイクル機器でどこまで存在感を高められるのかが焦点となる。
トリチウム燃料を循環させる要、油を使わない真空ポンプ
今回のTMP試作機は、核融合炉で燃え残ったトリチウム(三重水素)や重水素、反応で生じるヘリウムを排気し、再度燃料として利用する「フュージョン燃料サイクルシステム」を支える中核機器だ。炉内を高真空に保ちつつ、放射性物質を含むガスを安全かつ効率的に回収・循環させる役割を担い、将来の商用炉の連続運転に欠かせないと位置づけられている。
両社の発表によると、ポンプ内部は潤滑油を使わないオイルフリー仕様で、回転体を磁力で浮上させて支持する磁気軸受構造を採用した。トリチウムによる油の劣化や部品摩耗を抑え、長期間の連続運転を想定したためだ。真空に触れる材料もトリチウム耐性の高いものに切り替え、水素同位体ガスに対する排気性能を高めている。一般の産業用真空ポンプでは想定されない条件に応える設計であり、核融合専用機としての特徴が色濃い。
UNITY-2での実証と、日本勢の核融合ビジネス戦略
試作機がまず投入されるUNITY-2は、京都フュージョニアリングとカナダ原子力研究所の合弁会社が進める統合型トリチウム燃料サイクル試験施設で、オンタリオ州チョークリバー研究所構内に建設中だ。2026年に試運転を始め、実際にトリチウムを循環させながら、燃料排気・精製・貯蔵までを一体で検証する世界初のフルループ試験を目指している。今回のポンプはそこでの性能評価に使われるほか、他国の核融合開発企業や研究機関にも順次提案・供給される見通しだ。
産業用ターボ分子ポンプで高い世界シェアを持つ島津にとって、核融合向け真空機器は既存技術を生かした新たな市場開拓となる。一方、プラント全体のエンジニアリングを担う京都フュージョニアリングは、燃料サイクル装置を自社仕様でそろえることで、将来の商用炉案件で優位に立ちたい考えだと各種報道は伝える。核融合発電そのものの実用化時期はなお見通しが難しいが、トリチウム燃料の取り扱いや真空技術といった周辺分野から事業基盤を築こうとする動きは加速しており、日本のものづくり企業がどこまでこの流れを取り込めるかが今後の注目点になる。
参考・出典
- 京都フュージョニアリングと共同で核融合発電施設向けターボ分子ポンプの試作機を開発 カナダで建設中の「UNITY-2」でトリチウム環境下での性能試験の実施へ
- 京都フュージョニアリング、島津製作所と共同でトリチウム環境下での運転を想定した「ターボ分子ポンプ」の試作機を開発
- Fusion Fuel Cyclesが統合型フュージョン燃料サイクル試験施設「UNITY-2」の建設を開始
- Kyoto Fusioneering and Canadian Nuclear Laboratories Launch Joint Venture, Fusion Fuel Cycles Inc.
- 〖特集:スタートアップの軌跡〗第2回 核融合エネルギー開発、ものづくり力で国際競争に挑む 京都フュージョニアリング
