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ソフトバンクは12月10日、モバイルネットワークの今後をテーマにしたメディア説明会を開き、5Gスタンドアローン(5G SA)エリアの急拡大と、その先にあるLTE停波への道筋を示した。十数年使い続けてきたLTE設備の更新が迫る中、同社は「5G SAへ移行しなければLTEをやめられない」と強調する。
通信が混み合う現場で5G SAが果たす役割
大規模イベントや観光地では、スマホ利用が集中すると「つながらない」「動画が止まる」といった不満が繰り返されてきた。ソフトバンクはコミックマーケット106や池袋のハロウィンイベントなどで、5G SAに加えSub6の増強や移動基地局車、衛星通信やミリ波FWAを組み合わせ、混雑時の通信を下支えしている。
説明会でモバイル&ネットワーク本部の大矢晃之氏は、全国で5G人口カバー率が96%超、5G基地局が約10万局に達し、端末が5Gにつながっている時間の割合を示す「5G接続率」も37.1%と他社より高いと説明した。4K動画の視聴に十分な30Mbps超を確保できる地域が広がる一方、3Mbps未満のエリアは少ないとし、「体感品質を重視してきた成果だ」と位置づけた。
こうした取り組みは「ピーク時にもそこそこ速い」状態を目指すものだ。最高速度の高さよりも、混雑する駅や会場でどれだけ安定して通信できるかが利用者の評価を左右する。その裏側で、基地局の配置や周波数の使い分け、SAとNSAの運用を含む複雑な制御を、5G SAネットワークが担う比重が高まっている。
老朽化するLTEからの脱却、SoftBankの賭け
大矢氏が繰り返し強調したのは、5G SA拡大が「新しいサービスのため」だけではなく、老朽化したLTEインフラの更新でもあるという点だ。LTE設備は稼働から十数年が経ち、保守部品の確保や消費電力、設置スペースなどが徐々に重荷になっている。5G SAに十分なエリアと品質を確保できなければ、LTEを順次停波する判断ができないという。
そのため同社は今年に入り、5Gコアと5G基地局で構成する純粋な5G方式である5G SAの展開を一気に加速させている。2025年3月から10月の間に、5G SAの提供エリアは約13倍に広がり、東名阪だけでなく札幌や福岡、仙台など地方都市にも広がったという。社内試験では、従来の5G NSA方式と比べて下りスループットが約1.6倍、応答時間は約2割短くなると報告された。
5G SAが十分に普及すれば、LTE向けに割り当てていた周波数や設備を5G側へ順次転用できる。これは将来的なコスト削減だけでなく、トラフィック増加に対応する現実的な手段でもある。しかし、LTE専用端末や古いIoT機器は当面残るため、一定期間は両方式を並行運用せざるを得ない。今回の説明会は、その難しいかじ取りを「LTEから5G SAへの世代交代」として示し、理解を求める場でもあった。
AIと新機能で広がる5G SAの“次の用途”
5G SAの価値をさらに高めるカギとして、ソフトバンクは4つのテクノロジーを挙げた。複数の周波数を束ねるCA(キャリアアグリゲーション)、上り通信の強化、基地局アンテナを高度に制御するMassive MIMO、そしてネットワーク全体をAIで自律制御する取り組みだ。説明会では、CAの組み合わせやセルの混雑分散など、従来は「職人芸」だった調整をAIエージェントに任せていく構想も紹介された。
さらにSAならではの新機能として、IoT機器向けに簡素化した「RedCap」や、低遅延を保証する「L4S」、用途ごとに仮想的な専用線を切り出すダイナミック・スライシングなどもロードマップに並ぶ。世界では既に90社以上の通信事業者が5G SAネットワークを展開し、その一部はスライシングによる差別化サービスを提供し始めていると、Ericssonの最新レポートは指摘する。
一般の利用者にとっては、表示されるアイコンが4Gから5G SAに変わっても、劇的な変化を実感しにくいかもしれない。それでも、イベント会場での「パケ止まり」が減り、在宅勤務のビデオ会議やクラウドゲームが安定する裏側には、LTEから5G SAへと移り変わるインフラと、その運用を担うAIの存在がある。老朽化対策という守りと、新サービスという攻めをどう両立させるのか。SoftBankの次の一手は、国内モバイルネットワーク全体の将来像を占う試金石になりそうだ。
