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秋雨のソウル・龍山で国務会議が開かれた14日、韓国外務省が、偽の求人や詐欺組織に絡む事件の被害者とみられる自国民がカンボジアで相次ぎ行方不明になっていると明らかにした。李在明大統領は「国民の安全確保にあらゆる手段を直ちに動員する」と指示し、政府の緊急対応が動き出した。被害の全体像をどう浮かび上がらせるかが問われている。
募る不安、増える被害の報
現地からは「高給」をうたう偽求人に引き寄せられた若者が拘束され、連絡が途絶える事例が連鎖しているとの証言が重なる。現時点で確認されている範囲では、韓国外務省関係者が自国民の安全未確認が多数にのぼる状況を示唆したと一部報道が伝える。数字は精査中であるが、家族の電話が鳴らない時間が不安を膨らませている。
カンボジアでの韓国人被害は2023年以降に急増したとの国会報告が紹介され、昨年から今年にかけて誘拐・監禁の件数が跳ね上がっているという。裏側には、詐欺コールセンターやオンライン犯罪拠点の存在があるとみられる。仕事を装って入国させ、意思に反して働かせる手口が広がっているとの指摘が絶えない。
最近では、韓国人大学生が現地組織に拘束され死亡したと報じられ、国内に衝撃が走った。SNSには「友人の所在がわからない」との投稿が相次ぎ、帰国を願う家族の声が重い。被害の連鎖を断ち切れるのか、社会全体の警戒と制度的な歯止めが求められていると映る。
政府は何を決めたのか
14日朝の国務会議（2025年10月14日 10:00）で、李在明大統領は「被害者の保護と関係者の国内送還を急げ」と強調し、即応体制の総動員を指示した。会議後のブリーフィングでは、政府が省庁横断で実態把握と救出・保護に踏み込む方針が示された。危機対応の司令塔を前面に出す構えがうかがえる。
政府は15日、外務第2次官を団長とする政府合同対応チームをカンボジアへ派遣するとした（2025年10月15日）。同チームには警察や情報機関が加わり、現地当局との共同捜査や拘束中とみられる自国民の送還協議に臨む。大使館の対応力を高めるため、警察主務官の増員など人員の上積みも検討されている。旅行警報の引き上げも選択肢に上るとされた。
国内では、偽求人広告の監視強化や関与者の厳正処罰、被害の申告漏れを防ぐ「特別申告期間」の実施を10月中に行う計画が示された。警察はアセアン域内の事件に合同で対処する国際協議体の立ち上げを主導し、大学生死亡事案の共同捜査も進めるという。即応と予防、そして国際連携を束ねる一連の動きが立ち上がっている。
越境犯罪のいま、私たちにできる備え
近年、東南アジアにはオンライン詐欺の拠点が点在し、越境で人を集めるモデルが広がっている。甘い条件を掲げる求人や、旅費・宿泊費を肩代わりする勧誘は典型的な入口である。現地到着後にパスポートを取り上げられ、移動や通信を制限される構図が繰り返されてきた。被害の連鎖を止めるには、情報の透明化が不可欠である。
韓国政府は、渡航前の確認徹底と、疑わしい勧誘の通報を呼びかけている。求人の正当性や雇用主の実在、労働条件の契約化といった基本を外すと、拘束や搾取に直結しかねないからだ。留学や短期滞在を計画する若者にとっても、保険や連絡手段、緊急時の連絡網の整備は命綱となる。目の前の好条件にのみ目を奪われない視点が要る。
家族や友人の名を呼び続ける人々がいる。14日の会議で示された一連の措置が、現地で助けを待つ人に確かな道を開けるのか。政府は「利用可能なすべての手段」を掲げた。いま必要なのは、数字の積み上げだけでなく、所在確認と安全確保の結果である。次の報が、帰国の知らせであってほしい。
