本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
スペイン政府は5日、カタルーニャ州で発生したアフリカ豚熱(ASF)の原因について、研究施設からのウイルス流出の可能性も含めて調査すると公表した。EU最大級の養豚国スペインでは、約31年ぶりのASF確認で輸出産業と農家に緊張が走る。ASFウイルスは人にはうつらない一方、豚やイノシシには致死的で、一度持ち込まれれば地域の畜産を長期に揺さぶりかねない。
養豚大国を直撃、野生イノシシ発の感染と広がる経済リスク
今回のASFは、バルセロナ近郊で見つかった野生イノシシから確認された。11月末に2頭の死骸からウイルスが検出されて以降、同じ地域で陽性のイノシシは十数頭に増えている。スペインでASFが報告されるのは1994年以来で、当局は周囲約20kmを監視区域とし、区域内の養豚場に移動制限や衛生強化を求めている。
現時点で家畜の豚から陽性は出ていないが、区域内には多くの農場があり、一部では約3万頭の健康な豚を予防的にと畜場へ送る決定もなされた。肉は国内向けとして流通させる方針だが、生産者にとっては突然の出荷と価格下落という二重の負担になる。
海外市場の反応も速い。マレーシアなど一部の国はスペインからの豚肉や加工品の輸入停止・制限措置を打ち出し、取引先拡大に努めてきたスペインの養豚業界には打撃となりうる。欧州委員会も獣医緊急チームをカタルーニャに派遣し、封じ込めが早期に成功するかどうかが、地域経済だけでなく「安全な供給国」としての評価を左右する局面になっている。
研究用ウイルスが疑われる背景と、問われるバイオセキュリティ
政府が研究施設からの流出を「排除しない」としたのは、ウイルスの遺伝子解析結果がきっかけだとされる。今回検出されたASFウイルスは、現在ヨーロッパ各地で流行している系統とは異なり、2007年にジョージアで猛威を振るい、その後ワクチンや治療法の研究で広く使われてきた株と非常に近い特徴を持つと報告された。このため、感染国から肉製品などを通じて入り込んだという筋書きだけでは説明しにくいとの見方が出ている。
発生地に近い場所にはASF研究を長年担ってきた公的研究センターもあり、国内メディアでは「施設からの漏えい疑惑」が見出しを飾った。ただ、センター側は対外的なコメントで「バイオセキュリティ手順の点検でも問題は見つかっていない」と説明し、カタルーニャ州政府も「現時点で原因を断定できる材料はない」と慎重な姿勢だ。スペイン農業省と州警察、EUの専門家チームが並行して調査を進めており、結果が出るまで時間を要するとみられる。
ASFは人に感染しないにもかかわらず、感染した豚やイノシシの多くを死に至らしめるため、最前線でコストを負うのは農家と地域社会だ。一方で、リスクの高い病原体を扱う研究は、ワクチン開発や将来の流行防止に欠かせない。今回のスペインの事例は、「研究の恩恵」と「万一の事故時に誰がどの範囲で負担を引き受けるのか」というバランスを、輸出大国の養豚業がどのように再設計していくのかを突きつけている。
参考・出典
- Spain detects cases of African swine fever for 1st time in 31 years
- Spain to slaught 30,000 pigs amid swine fever control measures
- Malaysia bans most pork imports from Spain due to swine fever outbreak
- Spain not ruling out lab leak as cause of swine fever outbreak
- Spain probes whether swine fever outbreak was caused by lab leak
- African Swine Fever Confirmed in Spain After Three Decades – Swine Health Information Center
