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2年以上続くスーダンの戦闘で、準軍事組織RSFが2025年11月6日、人道的停戦案の受け入れを表明した。米国、エジプト、UAE、サウジアラビアが仲介し、戦禍が及ぼす人道的影響の緩和と民間人保護を掲げる。停戦が成立すれば、ジッダで恒久停戦に向けた協議へ進む道筋が開く。声明の背後で、戦闘の焦点や住民の避難が刻々と動いている。
受け入れ表明と仲介の枠組み
RSFは声明で、スーダン国民の願いと利益に応えるために合意したとし、戦争の壊滅的な影響への対応、民間人保護の強化、人道支援の確保を目的に挙げた。仲介側の高官は、提案には全国で3か月間の人道的停戦が含まれ、期間中に当事者をジッダ協議へ導く方針だと説明した。期待は高まるが、具体の実施計画はこれからだ。
一方、政府軍側の公式な反応は出ていない。11月上旬の内部協議では継戦方針が示され、軍はRSFの占拠地域からの撤退などを条件にしてきた経緯がある。停戦を枠組みに乗せるには、戦線の固定や検証の方法、違反時の対応など、詰めるべき点が多い。意思表明と実行の距離は依然として長い。
提案の骨格は、まず人道目的の停戦で敵対行為を止め、次に恒久停戦と政治協議へと段階を進める考えだ。交戦2年超で疲弊した医療や物流を立て直す狙いもある。RSFは受け入れと同時に、敵対停止の取り決めや政治の基本原則の協議開始に前向きだと記した。段階の確実な移行が問われる。
戦況の変化と住民の不安
情勢は現地の緊張を映す。RSFは2025年10月26日、ダルフールの要衝エル・ファシェルを掌握し、住民の間には大量殺害や略奪、性的暴力への恐れが広がった。国連機関や人権団体は重大な人権侵害の疑いを指摘し、避難や医療の需要がさらに膨らんでいる。町の市場や病院は、静かな日常を失ったままだ。
前線は西部から隣接するコルドファンへも拡大し、道路と空路の安全確保が人道支援の成否を左右する。停戦が現実に機能するには、自治体や救援団体が入れる時間帯と回廊の設定、通信遮断の緩和など、具体的な運用が不可欠だ。停戦の言葉だけでは、必要な物資も診療も届かない。
エル・ファシェル陥落以降、周辺では埋葬や遺体収容の遅れが報告され、衛生環境の悪化が懸念される。水や食料の不足に加え、病院の機能不全が長引けば、停戦の有無にかかわらず犠牲は増えかねない。停戦は支援体制の立て直しと一体で進む必要がある。人々はその順番を気にしている。
政府の対応と今後の焦点
同日、国軍最高司令官アブドルファタハ・ブルハン氏はテレビ演説で、敵の打倒を目指し戦い続けると強調し、攻撃された地域で犠牲となった人々の仇を近く討つと述べた。強い言葉は、停戦機運と並走しながらも、軍が直ちに歩み寄る構図にはないことを物語る。戦闘継続の宣言は現場の緊張をさらに引き上げる。
今後の焦点は、提案がいつ、どの地域から実施に移るかだ。監視と検証を誰が担い、違反の通報をどう扱うかで実効性は変わる。ジッダでの協議が始まれば、政治プロセスの入口が見える。砲火の往復が止む時間が少しでも延びることが、救える命と日常の幅を広げていく。小さな静けさが、次の一歩を呼ぶ。
政府側はUAEの関与に難色を示してきた経緯があり、仲介の組み合わせ自体が交渉の火種にもなる。だからこそ、監視の透明性や第三者による検証が信頼を支える。対話の場が整えば、武力の勝敗ではなく、住民の安全と生活再建を軸にした議題が前に出てくるだろう。停戦の意味はそこに宿る。
