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台湾の台北地方法院が2025年9月25日、与党・民進党の元党員4人に対し中国へのスパイ行為を認定し、最大で禁錮10年の判決を言い渡した。外交関連の機密や要人の動静が狙われたとされ、裁判所は「台湾の厳しい外交環境をさらに悪化させた」と強い調子で非難した。判決は対中工作のリアリティを映し出し、島内の保防体制にあらためて焦点を当てた。
台北地裁、4人に有罪 外交情報の漏洩が焦点
朝の法廷に淡い光が差し込み、人の出入りが落ち着いたころ、判決言い渡しが始まった。台北地方法院は2025年9月25日に主犯格の被告へ禁錮10年を宣告した。判決は国家機密保護法と洗錬防制法の違反を柱に据え、組織的な情報の授受を認定した。
共犯の量刑は段階を追って示された。1人に禁錮8年2か月、もう1人に禁錮6年2か月が下された。法廷では機密の扱いと情報の伝達経路が丁寧に読み上げられ、合議体の判断が積み重ねられた。
残る1人には禁錮4年が科された。主犯には罰金100万元が併科され、犯罪収益の没収も命じられた。押収品の扱いについても具体の記載があり、違法な利益の回収に踏み込んだ姿勢が見て取れる。
金の流れは生々しい。主犯側で497万7500元、共犯側で221万6924元の報酬を得たとされ、いずれも台湾側で現金化されていた。通信には暗号化ソフトが使われ、受け渡しの痕跡を薄める工夫があったと認定された。
事件の経緯と法廷の判断
起点は6月11日の起訴である。検察は、主犯格が2017年から中国側に取り込まれ、政治関連の情報を集め始めたとみている。そこに党職員経験者を巻き込み、金銭が動く構図ができあがった。動線の先には政府中枢があり、情報の価値は高く保たれていた。
裁判所が重く見たのは中身だ。外交部長の行程や、要人の出国に絡む詳細、選挙日程に関する資料など、首脳の足取りに触れる情報が含まれていた。合議体は、長期間にわたり外交安全保障に直結する情報が刺探・収集・交付されたと述べ、「台湾の外交に雪上加霜」と評した。いわば現場の鼓動が伝わる資料群だったということだ。
一方で、起訴された資料の一部は公開情報であり、法が想定する機密に当たらない部分もあると指摘された。だがそれは全体の判断を覆すには至らず、他の機密や公務上の秘密の漏洩で犯罪事実は十分に立証されると結論づけられた。合議体は量刑で、犯行態度の差や収益返還の有無も織り込んだ。なお判決は不服申立てが可能で、検察は上訴の是非を検討中である。
広がる摘発の波 数字が示す背景
監視の目は本件にとどまらない。台湾の国家安全局は、2024年に中国のスパイ行為に絡み起訴された人数が64人に達したと分析した。件数の増加は、摘発の底上げと通報の広がりを映している。
前年は48人で、右肩上がりの傾向が続く。検挙の手触りは社会の末端にまで及び、報告書は実動と統計の両面から現状を描き出した。
内訳も示唆的だ。退役軍人が23%、現役軍人が43%で、軍組織が工作の主目標になっている実情がにじむ。宗教団体や民間社団、地下金融など、多様な回路が介在し、金銭や債務をてこに接触が深められる。今回の判決が照らしたのは、外交の最前線と政権中枢が結びつく情報の脆弱部であり、統治の節目ごとにリスクが潜むという冷厳な事実である。