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秋晴れの永田町に、静かな緊張が漂う。自民党の高市総裁が2025年10月7日に党役員人事を決定し、新執行部を発足させる。幹事長に鈴木俊一、総務会長に有村治子、政調会長に小林鷹之、選対委員長に古屋圭司を内定。麻生太郎最高顧問は副総裁に就く見通しだ。党運営と組閣の両輪が同時に動き出し、次の政治の輪郭が浮かぶ。
党四役の顔ぶれが固まり、再始動の合図
高市総裁は7日、党四役の布陣を固めた。幹事長に鈴木俊一（72）、総務会長に有村治子（55）、政調会長に小林鷹之（50）、選挙対策委員長に古屋圭司（72）をそれぞれ内定したとされる。副総裁には麻生太郎（85）を充て、党内の経験値と求心力を重ねる構図である。挙党体制を前面に出しつつ、選挙・政策・資金配分の要を押さえる選択と映る。
幹事長代行には萩生田光一（62）を起用し、国会対策委員長には梶山弘志（69）を据える。国会運営の実務と選挙現場の地図を重ね、臨時国会や次期選挙をにらんだ布石を早々に打つ段取りだ。梶山は経産相経験を持ち、与野党折衝の勘所を押さえるとみられる。四役と国対の連携ラインを太くする狙いがにじむ。
現時点で確認されている範囲では、これらは内定段階が含まれる。正式決定には党内手続きを経る必要があり、総務会での追認を経て新体制が走り出す運びとみられる。人事はいずれも既存の役割と個性を踏まえた配置で、政策立案から選挙運動、党内統治までの動線を意識した線引きが見える。誰に有利なのか、偶然か必然かという問いが重なる。
組閣の見取り図が示す優先順位
閣僚人事では、官房長官に木原稔・前防衛相（56）を起用する方針が軸となっている。官邸の司令塔を安全保障に通じた顔で固めることで、外交・安保と危機管理の一体運用を図る狙いが透ける。総裁選5位の茂木敏充・前幹事長（69）は外相などの要職で調整が進み、決選投票で競り合った小泉進次郎農相（44）も引き続き閣内で処遇する方向だ。
木原は防衛相経験を持ち、与党内で省庁間調整の手腕に定評がある。官房長官就任が固まれば、長官会見と政権のメッセージ発信を担い、内閣の危機対応を先導する役回りとなる。茂木は外相や党三役を歴任し、通商・外交の実務を熟知する。小泉は農政を担っており、食料安全保障や地域経済の再設計に継続性が生まれるとみられる。
もっとも、内閣名簿の最終形は連立与党や国会日程とのすり合わせで微修正があり得る。現時点で確認されている範囲では、挙党一致と政策優先を両立させる配列が中心だが、人事はメッセージであり、同時にリスクでもある。どこに重心を置くのか、誰を前面に出すのか。組閣のディテールが、物価高や安保、地方の再生といった課題への本気度を映す。
派閥力学とガバナンスの試金石
今回の人事では、鈴木と有村が麻生派（43人）に所属し、麻生太郎が副総裁に就く構図が目を引く。鈴木の起用は麻生の要請が働いたとされ、有村は総裁選で高市の推薦人だった。決選投票では麻生派議員に高市支持を指示した経緯があり、党運営の中枢に同派の影が色濃い。安定運営の柱にするのか、権力集中の懸念を呼ぶのか、評価は割れる。
政調会長に内定した小林は、保守色の強い政策観で高市と呼吸を合わせる。総裁選4位から決選投票で高市を支持し、政策を磨く場で腕を振るう布陣だ。選対委員長の古屋は推薦人代表として選挙戦を支え、全国戦略の陣頭に立つ。挙党一致の看板は整った。次は、内政・外交の優先順位をどう示し、どの順番で実行に移すかが問われる段階である。
一方で、ガバナンスの重さも増している。幹事長代行に起用される萩生田は、旧安倍派の政治資金規正法違反問題に関連し、2024年4月に党の役職停止1年の処分を受けた。今年8月には、同法違反で略式起訴された政策秘書が罰金30万円などの略式命令を受けた経緯がある。説明責任と再発防止の徹底は、政権の持続性を占う試金石となる。
