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秋の空気が澄み、参道の砂利がかすかに鳴った2025年10月17日、靖国神社で秋季例大祭が始まった。自民党の高市早苗総裁はこの日、私費で玉串料を納めた。本人の参拝は期間中見送る方向で、外交上の波紋を避けたい判断がにじむ。慰霊の思いと政権運営の現実が交差する場面である。
静かな玉串が映す現実
午前の陽が社殿の檜皮葺を柔らかく照らすなか、秋季例大祭の初日を迎えた靖国には、粛然とした空気が流れていた。高市氏は2025年10月17日、玉串料を私費で奉納した。形式としては最小限ながら、慰霊の意思を示す選択であり、政治的なメッセージを抑えにかけた所作と映る。
一方で、期間中の参拝は見送る方向だ。総裁としての社参は、中国や韓国の反発を誘発しやすく、就任直後の政権を揺らしかねない。周辺には「今は抑える」という空気が広がり、外交課題の火種を増やさないという現実的な計算が透ける。静かな玉串に、揺れる判断が重なる。
現時点で確認されている範囲では、名代による参拝が調整されたとの報もある。一部報道では有村治子総務会長が高市氏の名代として拝礼し、「総裁の意を体して、謹んでお参りした」と述べたと伝えている。本人不在の神前に、政権の足場を整える時間稼ぎの意図がにおう。
総裁としての距離感、首相指名を前に
高市氏はこれまでも、閣僚在任中を含め、終戦の日や春秋の例大祭に繰り返し参拝してきた経緯がある。保守の支持層にとっては一貫性の象徴であり、当人にとっては戦没者追悼のけじめである。ただ、党総裁という立場になると、同じ行為でも外交的含意は一段と増す。
21日に予定される首相指名選挙を前に、総裁としての一挙手一投足が政権の初動に影を落とす。もし首相に選ばれれば、就任直後の外遊や首脳会談が相次ぐ見通しで、近隣国との信頼醸成が喫緊の課題となる。参拝見送りは、その助走を乱さないための現実的対応とみられる。
周辺では、外交の積み重ねのなかで理解を得る道筋を探り、将来的な参拝の可能性は閉ざさない構えだとの見方がある。国内世論と国際世論の狭間で、どこまで踏み込み、どこで立ち止まるか。今回の判断は、その調整力を試す最初のリトマス試験紙になりそうだ。
首相の「真榊」と与野党の足取り
同じ17日、石破茂首相は「内閣総理大臣 石破茂」名で供物の真榊を奉納し、期間中の参拝は行わない方針を示した。首相はこれまでにも、春の例大祭で真榊を納めつつ参拝は控える対応を続けており、今回も同様のトーンを保った格好だ。政権の安定運航を優先する合図といえる。
昨年秋の例大祭でも、当時の就任直後に真榊を奉納し、社参は見送っている。春は奉納、秋も奉納——連続する選択は偶然ではない。対外関係に配慮しつつ、国内の慰霊の作法を絶やさない。そのバランスを取る術として、奉納に重心を置く判断が定着してきたとみられる。
国会では、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」が例大祭期に合わせて参拝したとの報もある。議員それぞれの立ち位置が改めて浮かび、21日の首相指名を前に与野党の足取りが交差する。拝殿前に並ぶ人波の奥で、政権の一手と外交の歩みが静かに重なっている。