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韓国・慶州で開かれるAPEC首脳会議の機会を捉え、高市早苗首相が31日にも中国の習近平国家主席との初の首脳会談に臨む方向で調整が進んでいる。現時点で確認されている範囲では、政府は30日から11月1日までの会期中に各国と個別会談を組み込み、日中間でも接点拡大を探る構えである。一部報道によれば、会談は31日を軸に想定されているとみられる。
初会談の見通しと「戦略的互恵」
今回の会談が実現すれば、高市氏にとって首相就任後初の対面による日中首脳外交となる。政府はAPEC出席に合わせ、二国間関係や地域情勢に関する相互理解を深める個別会談を多数設定しており、日中間でも高位レベルの意思疎通を継続する流れが広がっているとみられる。会期は10月30日から11月1日で、慶州での主要セッションの合間を活用した対話となる見通しである。
一方で、今回の首脳対話の基調は「建設的かつ安定的な関係」をどう具体化するかに置かれる。高市氏は24日の所信表明で、中国を日本にとって重要な隣国と位置づけ、課題を抱えつつも「戦略的互恵関係」を包括的に推進する方針を示している。双方の共通利益を拡大しつつ、懸案の管理と信頼醸成の仕組みづくりを並行させられるかが核心である。
現地では主要国首脳が相次いで二国間の場を設ける中、中国側も高位交流への前向きな姿勢をにじませているとの報もある。高市氏としては、初会談で対話の継続性を確保し、実務協議の指示系統を整えることが当面の到達点となる。まずは双方が関係の「土台」を再確認し、次の外相往来やハイレベルの経済・人的交流対話につなぐ道筋を示せるかが注目される。
通商・安全保障、広がる協議課題
通商面では、希土類を含む重要鉱物とサプライチェーンの安定が焦点の一つとなる。米中間でレアアースを巡る追加措置の一時停止に関する動きが伝えられる中、日本としては経済安全保障を損なわない形での市場予見性の回復と、調達先多角化の努力を併走させる立場である。日中間でも貿易・投資環境の透明性や予見性をどう確保するかが議論の俎上に載る公算が大きい。
安全保障分野では、東シナ海情勢の安定化や危機管理コミュニケーションの整備が不可欠である。偶発事態の回避へ向けた連絡枠組みの運用強化、海空での行動の予見性確保は双方の利益に資する。中国側は高位交流の継続に言及しており、実務当局間の協議を厚くすることで、課題の管理と信頼の積み上げを図る余地は残されているとみられる。
人的往来や文化交流の再活性化も、関係の底上げに資する現実的な分野である。観光や留学、研究者交流の回復は地域のイノベーション循環にも直結する。現時点で確認されている範囲では、今回のAPECを機に各国との幅広い協議が予定される。日中首脳が「戦略的互恵」の名の下で共通利益を具体的な行程表に落とし込み、次の節目に向けた作業指示を発することができるかが、今後の尺度となる。
