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東京の夜明け前、投資家の端末にテスラの四半期決算が流れ込んだ。7−9月期は売上が過去最高圏に達し、世界のEV納車も四半期で過去最多を記録したが、調整後1株利益は0.50ドルにとどまり、期待を少し下回った。関税や政策変更、AIや自動運転への先行投資が重なり、成長の陰影がにじむ内容である。
最高販売でも利益は伸び悩み
テスラは日本時間10月23日に第3四半期決算を公表した。売上高は281億ドルで前年同期比12%増。営業利益は16億ドル、営業利益率は5.8%と低下し、GAAPの希薄化後EPSは0.39ドル、非GAAPは0.50ドルだった。フリーキャッシュフローは約40億ドルと過去最高水準に達し、資金面では厚みが増したといえる。
販売は力強い。四半期の世界納車は約49.7万台と過去最多を更新し、在庫日数も10日まで圧縮した。一方で、営業費用は34億ドルと前年から50%増。SG&AやAI関連を含む研究開発の拡大が響いたうえ、固定費吸収の鈍化や関税引き上げ、車種ミックスの変化がコストを押し上げたと報告書は記した。
自動車に並ぶもう一つの牽引役も明確だ。エネルギー貯蔵の導入量は12.5GWhと四半期で過去最大となり、発電・蓄電事業の売上も前年を大きく上回った。充電網の拡充も続き、スーパーチャージャーの拠点は7,753か所、コネクターは73,817口へと広がっている。複線化した収益源が存在感を増している。
政策の転換が映した需要の波
米国の政策環境は追い風から逆風へと相貌を変えつつある。新車EVの税額控除は、車両の「取得」が2025年9月30日を過ぎると適用外となった。契約と支払いが期限内なら、引き渡しが後日でも控除対象になりうるが、制度の節目は明確だ。この前倒しの終了を前に、駆け込み需要が膨らんだとの見方が広がる。
実際、テスラは米国で税優遇の失効に合わせ、手の届く価格帯の新仕様を投入した。Model 3 Standardは3万6,990ドル、Model Y Standardは3万9,990ドルで、装備を絞りながらも安全機能や大型タッチスクリーンは維持した。報告書は、優遇終了後の需要をつなぐ布陣とする狙いをにじませている。
同時に、同社は「貿易・関税・財政政策の変化による短期的不確実性」が続くと記した。四半期の利益率を押し下げた要因として、原材料安による一部改善を相殺するかたちで、関税の上昇や販売構成の変化が挙げられている。政策の揺れとコストの厚みが、足元の採算を試している構図である。
未来への投資と、いま見るべき足元
決算の裏側で、同社は未来像をいっそう前面に押し出した。ベイエリアではロボタクシー技術を使ったライドヘイリングを立ち上げ、FSD(Supervised)は10月にv14へ進化した。AI学習能力の拡張も進み、走行データの蓄積は加速度を増す。自動車とエネルギーにまたがるソフト化の波が濃くなっている。
しかし、投資は時間も資金も要する。営業費用の伸びは50%に達し、AIや次世代製品の開発負担が見える。四半期で最大の納車を記録しても、利益の伸びは限定的だった。優遇措置の終焉後に需要の弾力がどこまで保てるか、そして関税の影響がどの水準で落ち着くか。市場が見極めたい焦点はそこにある。
日本時間10月23日 06:30に始まった投資家向け説明会では、長期成長と価値創造を掲げる姿勢が繰り返された。短期の不確実性を受け止めつつ、キャッシュ創出力と多角化した事業で耐える構図だ。最高販売と圧力の同居という今期の景色は、転換点の緊張と次章への期待を同時に映している。
