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タイとカンボジアの国境地帯で続く軍事衝突を巡り、両国軍の当局は2025年12月24日、停戦再開に向けた協議を始めた。戦闘は16日間に及び、少なくとも86人が死亡した。協議は国境の南端近くにある検問所で行われ、3日間の予定だ。両軍の当局は、合意に至れば12月27日に国防相会談へ進む可能性があるとしている。
避難する住民に、まず必要なのは「静かな時間」
停戦協議が始まっても、国境沿いの暮らしがすぐ戻るとは限らない。砲撃や小競り合いが断続的に続けば、住民は荷物をまとめ直し、学校や商店は再開の判断を先送りする。国境の町では、体育館の床に毛布を敷き、家族で身を寄せ合う夜が続いている。協議の価値は、勝敗の整理より先に、住民が「次の一晩」を安心して迎えられる時間を確保できるかにある。
その意味で、停戦は「宣言」だけでは足りない。Reutersは、カンボジア側で50万人超、タイ側で15万人超が避難を余儀なくされていると伝えており、避難の長期化は医療や物資の供給を細らせる。国境の検問所で開かれた今回の会合は、前線の緊張を下げる手順を具体化しない限り、避難生活の出口を示せない。
停戦の焦点は、約束をどう確かめるか
協議の舞台となる「国境委員会」は、停戦の実施や検証を扱う枠組みだ。ここで問われるのは、撃ち合いを止める合意文書そのものより、違反が起きたときに誰が何を根拠に判断し、どの順序で部隊配置や重火器の運用を見直すかという運用面である。タイ外務省は声明で、実効性ある停戦には現場の状況に基づく検証や地雷対策などが欠かせないとの立場を示した。互いが「相手が破った」と主張する局面では、検証の設計が停戦の寿命を左右する。
地域としても火を消したい。マレーシア外務省が公表したASEAN議長声明は、両国に敵対行為の停止と対話復帰を促し、12月24日の協議開催を位置づけた。一方で、Reutersや英紙ガーディアンは、会合に至るまで会場選定を巡る綱引きもあったと伝えている。もし事務レベルで合意が整えば27日の閣僚会談に進むが、逆に合意が曖昧なままなら、前線では「撃たれたから撃ち返す」が繰り返され、政治の段取りだけが先行する懸念も残る。
参考・出典
- Thai and Cambodia militaries hold talks on resuming ceasefire | Reuters
- Thailand and Cambodia begin talks to end deadly clashes after venue row | Thailand | The Guardian
- Thailand, Cambodia to hold ceasefire talks on Dec 24, as ASEAN calls for ‘maximum restraint’ – CNA
- Statement on the Special ASEAN Foreign Ministers’ Meeting (Special AMM) 22 December 2025, Kuala Lumpur, Malaysia – กระทรวงการต่างประเทศ
