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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は8日、昨年12月のアサド旧政権崩壊後、300万人を超えるシリア人が元の地域へ戻ったと公表した。同時に、難民支援に充てられる国際的な資金が減りつつあり、この帰還の流れが続かなくなるおそれがあるとして、各国に一段の協力を求めている。避難生活の終わりではなく、生活再建の出発点としての「帰還」をどう支えるのかが問われている。
故郷に戻った300万人、始まったばかりの暮らしの再建
UNHCRによると、これまでに約120万人のシリア難民と190万人の国内避難民が自宅へ戻ったとされる。国外に逃れた人々と、国内で移動を強いられた人々が、それぞれの形で故郷を再び選び始めた格好だ。しかし、戻った家は損壊していたり、インフラが十分に復旧していなかったりする場合も多く、「帰ること」だけでは安全と安定が確保されたとは言い切れない。
水道や電気、学校や医療といった基本的なサービスが十分でない地域では、家族が再び別の土地へ移らざるを得なくなる危険もある。UNHCRが「帰還の流れを維持するには一段の支援が不可欠だ」と強調する背景には、数字に表れる帰還者数だけでは測れない、こうした不安定さがある。帰還直後の住宅修復や生計支援など、地道な援助が積み上がってはじめて、人々は長期的な生活設計を描くことができる。
細る資金、続く危機 支援を誰がどこまで担うのか
一方でUNHCRは、世界全体で人道支援への拠出が伸び悩み、シリア向けの資金も減少傾向にあると警告する。各国が自国の財政や別の危機対応に追われるなか、テントや食料などの緊急支援だけでなく、住まいの再建や仕事づくりといった中長期の取り組みが影響を受けやすい。帰還が進めば支出は減る、という単純な構図ではなく、むしろ「戻った後」にこそ投資が必要になる局面だ。
UNHCRが追加支援を訴えるのは、シリア国内だけの問題にとどまらないからでもある。帰還が不安定になれば、周辺国で避難民を受け入れてきた地域社会への負担が再び高まり、将来的な越境移動や治安悪化につながるとの懸念もある。専門家の間では、早い段階で住環境や仕事を整える方が、長期の避難生活を支え続けるよりも社会全体のコストを抑えられるとの指摘もある。
シリアに戻る人々の決断を、持続可能な暮らしへとつなげられるかどうかは、目に見えにくい人道支援を各国がどこまで守り続けるかにかかっている。
