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言論NPOの工藤泰志代表が2025年11月17日、都内で記者会見し、今月下旬に北京で予定していた「東京―北京フォーラム」を延期すると明らかにした。中国側が高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁を問題視し、開催見合わせを通告したためだ。2005年の創設以来、途切れなく続いてきた民間対話が足踏みする。
言論NPOが延期を決定、中国側の通告と首相答弁の波紋
言論NPOは、共同主催者である中国国際伝播集団とともに第21回会合を準備し、2025年11月22〜24日に北京での開催概要を12日に公表していた。全体テーマは「平和と協力 日中が連携してグローバルガバナンスに寄与する」とされ、外交・安全保障や経済などを横断して日中の参加者約100人が議論する計画だった。
しかし、その後に中国側から延期の通告があり、主催者は17日に記者会見で判断を説明した。背景には、高市首相が国会で「台湾有事は集団的自衛権を行使できる存立危機事態になり得る」と答弁し、10日に撤回しない考えを示した一連の発言がある。これに中国側が強く反発し、行事運営にも影響が及んだ格好だ。
東京―北京フォーラムは2005年に始まり、政府間の対話が停滞した局面でも継続してきた。新型コロナ禍では一部をオンラインに切り替えながらも、毎年の開催を絶やさなかった。今回の延期は、積み上げてきた民間対話の場が政治発言の余波で揺らぎ得ることを示し、交流の仕組みの脆さと必要性を同時に浮かび上がらせている。
続く「発表延期」が映す緊張、民間ルートにも連鎖
延期はフォーラムだけではない。17日に予定されていた日中共同世論調査の結果発表も、中国側の要請で再延期となった。今月初めにも同様の延期があり、連続する見直しは実務レベルの調整にも摩擦が生じていることをうかがわせる。民間の成果公表が止まるたび、両国の温度差が可視化される。
首相発言の要点である「存立危機事態」は、集団的自衛権の行使を可能にする法上の認定を指す。政府は個別具体の状況を総合判断する立場だが、今回のように国内の答弁が対外関係に波及し、いわゆるトラック2(民間外交)の場にも影を落とす局面が続いた。政治の言葉が対話の設計に直結する現実が、改めて意識された。
主催者は代替日程の調整を進める見通しだが、現時点で新たな開催時期は示されていない。北京開催の再構築か、形式の見直しか。いずれの道を選ぶにせよ、積み重ねてきた議論を途切れさせない工夫が求められる。熱のこもった議論が、静かな再開の合図へつながることを期待したい。