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警視庁は2025年12月23日、国内最大級とされる風俗スカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏らしたとして逮捕された暴力団対策課の警部補（43）を懲戒免職とした。同日、東京地検は地方公務員法違反（守秘義務）で起訴。組織の信頼を揺さぶったのは、情報が外に出た事実だけでなく、内部で止められなかった点だった。
漏えいが意味するもの、捜査の「目」が失われる
報道によると、漏えいとされたのは捜査用カメラの設置場所や画角が分かる画像などで、計6台分が対象になった。さらに捜査対象メンバーの氏名を含む情報や、関係先20カ所以上のリストを撮影して送った疑いも指摘されている。監視の位置や狙いが読まれれば、証拠収集は空振りになり、捜査員の動きまで逆に追われかねない。
警部補は3月まで捜査を担当し、4月以降は外れた後も職場のパソコンから資料を閲覧したとされる。つまり「担当を外す」だけでは守りが成立しない局面が露呈した。捜査の機密は、現場の手間と時間で積み上がる。漏えいは一度で、過去の積み上げをほどいてしまう危うさを持つ。
上司11人も処分、問われたのは監督と仕組み
警視庁は当人を懲戒免職とし、当時の直属上司だった警部を戒告、当時の課長ら計10人を注意や訓戒とするなど、上司11人にも処分を出した。個人の不正に線を引くだけでなく、監督責任を明確にした形だ。事件が「一人の逸脱」で終わらないのは、アクセス管理や異常の早期検知が十分だったのか、という疑問が残るからである。
警部補の関係先から現金が見つかったとの報道もあり、捜査は動機や見返りの解明に向かう。一方で、再発防止の焦点は別にある。異動後の権限をどこまで絞るか、閲覧履歴の監査をどう運用するか、現場が「例外」を作らずに回せる設計になっているか。警視庁が掲げた信頼回復は、処分の重さより、仕組みの更新で測られることになる。
