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「隠すものは何もない」。そう書き込んだのは、性犯罪で有罪となったジェフリー・エプスティーン元被告に関する記録の扱いをめぐって厳しい視線を浴びてきたドナルド・トランプ大統領だった。これまで公開を求める議員を攻撃してきた当の本人が、一転して関連ファイルの全面公開を後押しし始めたことで、連邦議会で進む「エプスティーン・ファイル透明化法」案は、大きな転機を迎えている。被害を訴える人たちや、与野党の一部議員が長く求めてきた透明性が、ようやく現実味を帯びつつある。
トランプ氏が態度を転換 下院は透明化法案の採決へ
アメリカ連邦議会では、エプスティーン元被告に関する司法省の記録を公開させる「エプスティーン・ファイル透明化法」案が、近く下院で採決を迎える見通しだ。対象となるのは、機密扱いではないあらゆる記録や文書、通信、捜査資料で、司法省が持つエプスティーン事件関連の全体像を明らかにすることを狙う。司法省は、被害者の個人情報や進行中の捜査を損なうおそれがある部分は伏せることができるが、政治的な都合や評判への配慮では非公開にできないとされている。
これまで、トランプ氏はこうした透明化を求める声に強く反発し、与党・共和党の議員に対しても法案への支持をやめるよう圧力をかけてきたと報じられてきた。しかし16日夜、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「下院の共和党議員たちはエプスティーン関連ファイルの公開に賛成票を投じるべきだ」と投稿。続けて「私たちに隠すものは何もない」と書き込み、これまでの姿勢を翻した。
トランプ氏は同じ投稿で、司法省がすでに数万ページ規模の資料を公開しており、ビル・クリントン元大統領や投資家リード・ホフマン氏、経済学者ラリー・サマーズ氏など民主党系の有名人とエプスティーン元被告の関係を調べていると主張した。そのうえで、下院監視委員会が法的に要求できる範囲のものはすべて提出すべきだとし、自身は構わないと強調した。下院では、超党派の署名が集まったことで法案を採決に持ち込む手続きが進んでおり、可決に必要な賛成票は確保されているとみられている。
法案を共同提出したトーマス・マッシー下院議員(共和党)は、メディアのインタビューに応じ、共和党の中だけでもおよそ100人が賛成に回る可能性があると見通しを語った。一方で、上院を通過できるかどうかは不透明だ。上院ではすでに、別ルートで提出された同様の法案が9月に共和党の反対で否決されており、トランプ政権と与党指導部がどこまで公開に踏み込むのかが焦点になっている。
与党内からも高まる透明性要求 グリーン議員の葛藤
エプスティーン関連ファイルの全面公開を訴え、党内からも注目を集めているのが、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党)だ。グリーン氏は9月、議会議事堂前でエプスティーン元被告の被害者だとされる人たちと並んで記者会見に立ち、すべての記録を明らかにするよう訴えた。その姿勢はその後も変わらず、党執行部やホワイトハウスが法案の扱いに慎重な姿勢をとる中でも、公開の必要性を繰り返し強調してきた。
しかし今月に入り、トランプ氏とグリーン氏の関係は急速に悪化した。トランプ氏は14日、トゥルース・ソーシャルへの投稿でグリーン氏を「裏切り者」「変人」「わめき散らす狂人」などと呼び、もはや同氏を支持しないと公然と宣言した。この投稿自体はエプスティーン関連ファイルに直接触れていなかったものの、グリーン氏は、自分と大統領との確執は「すべてエプスティーン・ファイルに行き着く」と述べ、透明性をめぐる対立が原因だと指摘した。
それでもグリーン氏は、16日に出演した米CNNの番組で、なおトランプ氏への政治的支持を表明しつつも、「エプスティーン関連のファイルを隠そうとする努力には賛成できない」と語った。国民は真実にアクセスする権利があり、「金持ちや権力者が悪いことをしたとき、守られるべきではない」との考えを示したうえで、なぜトランプ氏が公開に抵抗してきたのか疑問だと話した。同時に、被害を訴える人たちからは、トランプ氏が違法な行為に関与していないと聞いているとも述べ、その点では大統領の説明を信じていると明かした。
グリーン氏はインタビューの中で、アメリカの政治における憎悪と分断が、家族や友人、隣人を引き裂いていると指摘し、そうした分断を終わらせることに力を注ぎたいと語った。「アメリカは団結し、有害で危険な暴言や分断を終わらせる必要がある」とし、自分の行動でそれを示したいと述べるとともに、トランプ氏にも同じ姿勢を求めた。ただ、同氏自身はこれまで、陰謀論を広める発言や、銃を手にした写真を進歩派議員の画像と並べて投稿するなど、政治的対立をあおったとして批判を浴びてきた経緯があり、今回の「変化」がどこまで持続するのか注目されている。
過去の交友と残る疑念 エプスティーン事件が映すもの
トランプ氏とエプスティーン元被告は、2000年代はじめまで友人関係にあったとされる。トランプ氏は、エプスティーン元被告が捜査の標的になるより前に仲たがいし、関係は終わっていたと説明してきた。また、自身はエプスティーン元被告との関係で違法なことは一切していないと繰り返し主張している。それでも、大統領が政権としてエプスティーン事件の記録をどのように扱ってきたのかについては、与野党の枠を超えて疑問の声が上がっており、政権への不信感を増幅させる要因となっている。
連邦議会は先週、エプスティーン元被告の電子メール数千通を公開した。その中にはトランプ氏に言及したものも含まれ、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査では、2324件のメールのやり取りのうち1600件以上にトランプ氏の名前が登場したとされる。こうした数字だけで違法性が示されるわけではないが、なぜ多くの有力者がエプスティーン元被告と接点を持っていたのか、事件の実態がどこまで解明されているのかについて、国民の関心を一段と高める結果となっている。
一方で、司法省の記録公開には、被害を訴える人たちのプライバシー保護や、現在も続く可能性のある捜査への影響に配慮する必要があるとの指摘もある。上院では、9月にエプスティーン関連ファイルを一括公開する法案が共和党の反対で否決されており、今後も政治的な駆け引きが続きそうだ。今回の透明化法案がどこまで前に進むのかは、被害者への正義だけでなく、権力者に対する説明責任をどう確保するのかという、アメリカ社会全体の課題を映し出している。
議事堂の廊下では、被害を訴える人たちと議員たちが肩を並べて歩き、記録の公開を求める声を静かに重ねている。その声に、どこまで政治が応えるのかが、これから問われていく。
参考・出典
- H.R.4405 – 119th Congress (2025-2026): Epstein Files Transparency Act | Congress.gov | Library of Congress
- House Set to Back Release of Epstein Files After Trump Shift. What Happens Next?
- Epstein Files Transparency Act
- Senate Republicans Block Merkley’s Epstein Files Transparency Act, Justice for Epstein’s Victims – Merkley
- Top Democrat accuses Trump of 'panicking' after U-turn on Epstein files vote
- H.R.4405 – Epstein Files Transparency Act