トランプ氏、輸入医薬品に100％関税日欧は適用除外

2025.09.27

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トランプ米大統領が2025年9月25日、輸入されるブランド薬と特許薬に100％の関税を課すと表明した。対象は米国内に製造拠点を持たない企業で、医薬品サプライチェーンの再編を迫る内容である。一方、医薬品に関する条項を含む合意を米国と結ぶ国や地域は適用除外となる見通しで、日本や欧州連合は事前に約束された軽減枠が生きる。

何が起きたのか

発端は2025年9月25日のSNS投稿だ。トランプ氏は、米国内に工場を建設していない限りブランド薬と特許薬に100％の関税を課すと明言した。発動は10月1日とされ、突如の発表で市場と各国政府は対応を迫られた。後発医薬品は対象外とみられ、影響はイノベーション薬に集中する構図になる。

関税の狙いは、輸入調整を通じた国内生産への誘導にある。現時点で確認されている範囲では、米国内での製造拠点の建設が進む企業は適用除外となる公算が高い。建設が着工済みか進行中であることが示されれば、関税を回避できるとの説明が示されている。

突然の方針転換に対し、各国では既存の合意が生きるのか疑念が広がった。ホワイトハウス当局者は、米国と医薬品条項を含む協定を結ぶ相手は新関税の適用除外になるとの立場を示している。対象は国や地域単位での枠組み合意を前提とし、個別企業の扱いとは切り分けられる。

日本とEUはどうなるのか

欧州連合は8月の枠組み合意に基づき、医薬品の関税上限を15％に抑える見通しだ。相手国と相互にバランスのとれた貿易条件を目指すとされ、医薬品は半導体と並ぶ重要品目として上限管理の対象になった。ジェネリックについては一般関税率の適用が確認され、実務上の追加負担は限定的とみられる。

日本は7月の対米合意で、半導体と医薬品について他国に劣後しない待遇を受けると確認している。すなわち、日本からの該当品目に課される関税率は、EUなど他地域に対する水準を上回らない。自動車など広範な品目とともに、経済安全保障上の重要品目での協力と投資が柱として位置づけられた。

政府内では影響の精査と企業支援の準備が進む。関税の具体運用が固まるまでの間も、全国での相談体制や資金繰り支援の枠組みは稼働している。日本の製薬や部材産業にとっては、既存の合意で足場を確保しつつ、米国内投資の選択肢を柔軟に検討する段階に入ったといえる。

英国と企業の行方

英国は医薬品の関税率について米国との交渉が継続中で、今回の適用除外の枠には入らない可能性が指摘されている。関係者の話として、英国から米国への医薬品輸入には100％の関税が課されうるとの報道が出た。欧州連合に付与される15％の上限が英国にそのまま及ぶ保証は、現時点では存在しない。

企業サイドは関税回避に向け、米国内製造の拡充や新工場の建設計画を相次いで打ち出している。建設が具体化している案件は、当局の運用により一時的に免除扱いとなる見込みが示され、投資判断を後押ししている。医薬品の供給安定と価格の両立を図るには、品目ごとの生産移管と在庫戦略が決定打になる。

英国政府も価格制度の調整や産業投資の呼び込みで打開を模索する。だが、国家医療制度の予算制約と産業競争力の維持はトレードオフを孕む。交渉が長引けば、個社対応と国単位の枠組みの「二段構え」で時間を稼ぐ展開もありうる。各国の打ち手の早さが、適用除外の範囲や実効税率を左右する。

何が焦点になるか

第一の焦点は、米側が示した除外の線引きがどこまで明文化されるかである。合意に基づく国・地域単位の上限と、企業投資に応じた個別除外という二つのレイヤーが併存する以上、品目コード単位の運用が透明であることが不可欠だ。通知や通達の公開時期と、審査の所管手続きが当面の実務を左右する。

第二の焦点は、医療現場への波及をどう抑えるかにある。ジェネリックは原則として高関税の対象外と見込まれるが、先端のバイオ医薬やコンビネーション製品は影響を受けやすい。価格政策や在庫配分での緩衝策に加え、治療継続性を担保する輸送や認可の柔軟運用が求められる局面だ。

そして第三の焦点は、合意の持続性だ。欧州連合と日本は上限管理で当面の大枠を確保したが、詳細は運用で揺れうる。英国を含め交渉途上の相手にとっては、投資や調達の意思決定をいつ下すかが勝負どころである。各国の「合意先行か、投資先行か」の選択が、医薬品の地政学を静かに組み替えていく。

何が起きたのか

日本とEUはどうなるのか

英国と企業の行方

何が焦点になるか

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