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薄曇りのソウルの朝、米中首脳会談を前にワシントン発の短い投稿が空気を変えた。トランプ米大統領が30日、国防総省に核兵器実験の即時開始を指示したとSNSで明らかにした。「他国の核実験プログラムを踏まえ、同等の実験を始める」と記し、1992年以来止まってきた米国の核実験に再び現実味が差し込んだと映る。
大統領の一文が動かした朝
投稿は韓国で予定された習近平国家主席との会談の直前に出た。大統領は「Department of War」と書き、国防総省に対し直ちに核兵器の試験を始めるよう求めたと述べた。ロイターは、この表明が会談に向けた駆け引きの一環とみられるタイミングで発されたと伝えている。
大統領はさらに「ロシアが2位、中国は遠く3位だが5年以内に並ぶ」との見方を投稿に重ね、核戦力の競合を強く意識した。背景には、ロシアが原子力推進の巡航ミサイルや無人潜航体の試験実施を誇示した流れがある。発言は、力量誇示の応酬に拍車をかけかねないと映る。
一方で、具体的な手順や実施場所、開始時期の詳細は示されていない。現時点で確認されている範囲では、大統領のSNS投稿以外に政府機関からの詳細な説明は見当たらない。発表の形式と速さが、政策決定の中身の不透明さを際立たせている。
何が「実験」なのかは不透明
米国が最後に全面的な核爆発実験を行ったのは1992年である。その後は高度な計算機シミュレーションや臨界に達しないサブクリティカル実験などで信頼性を担保してきた。今回の指示が爆発実験の再開を意味するのか、兵器搭載手段の試験を指すのかは判然としない。
ガーディアンは、投稿が示す「同等の実験」の範囲が不明だと報じ、爆発を伴う試験を直ちに実施するとの断定は避けている。ロイターも、意図の核心を明かす追加説明は示されていないと伝えた。観測の幅が残る以上、解釈の先走りは避けたいところだ。
ただ、ロシアは最近、原子力推進の巡航ミサイル「ブレベストニク」や核動力無人潜航体「ポセイドン」に関する試験を相次いで公表した。こうした動きへの対抗心が米側の表現を強めた構図が浮かぶ。核抑止の均衡をめぐる心理戦が広がっている。
波紋と次の一手
国内政治の波紋も速い。ネバダ州選出の下院議員ディナ・タイタスは、核実験再開に反対する法案を提出すると表明したと一部報道は伝えた。実施となればネバダを含む関係地域の反発は避けがたい。議会と政権の綱引きが早くも始まっているとみられる。
東アジアの空は静かだが、緊張は目に見えない速度で高まる。韓国での米中会談は、発言の真意と落としどころを測る最初の場となる。具体策が出るのか、それとも強い言葉に留まるのか。短い投稿が投げた波は、1992年以降の抑制の歴史を揺さぶっている。
