本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
会場のざわめきが一瞬静まり、トランプ米大統領がマイクに身を乗り出した。サウジアラビアの投資会議で彼が語ったのは、株式でも石油でもなく、内戦に揺れるスーダンだった。前日にムハンマド皇太子から終戦への協力を求められたと明かし、「すでに動き始めている」と宣言したのである。聴衆の一部は突然の話題転換に耳をそばだてた。
サウジ皇太子の要請とトランプ政権の動き
トランプ氏は、ムハンマド皇太子が訪米した18日の首脳会談で、スーダン内戦の終結に向けた協力を強く求められたという。紅海を挟んでスーダンと向かい合うサウジにとって、対岸の戦闘は国境の安全保障そのものだ。19日、サウジ側の代表団も同席した投資会議で、トランプ氏はこの要請に応える形で「停戦実現へすでに取り組みを始めた」と改めて強調した。
そのうえで、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿では、スーダンでは甚大な残虐行為が続き「地球上で最も暴力が激しい場所」であり「単独では最大の人道危機」になっていると危機感をあらわにした。食料や医薬品を含むあらゆる物資が欠乏していると指摘しつつ、米国がサウジやアラブ首長国連邦、エジプトなど中東の国々と連携し、地域全体での残虐行為を止めスーダンを安定させると訴えた。米サウジ主導で進められてきた停戦交渉が行き詰まる中での発言だけに、政権の関与を一段と高めるシグナルと映る。
長期化するスーダン内戦と拡大する人道危機
スーダンでは、軍と民政勢力の権力移譲が模索されていたさなかの2023年、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊（RSF）」の統合を巡る対立が表面化し、首都やダルフール各地で激しい戦闘が始まった。民族間の緊張や過去の虐殺の記憶も絡み、暴力は報復の連鎖となって広がった。国際機関の推計では、20カ月以上に及ぶ戦争で数万人が死亡し、およそ1200万人が家を追われたうえ、人口の半分を超える人々が深刻な食料不足に陥り、世界最悪規模の人道危機と位置づけられている。
紛争はスーダン国内にとどまらず、周辺や湾岸諸国の思惑も絡み合う。報道によれば、RSFはアラブ首長国連邦などから、正規軍はエジプトやイランから支援を受けてきたとされ、戦闘の長期化を招いている。紅海沿岸ではスーダンとサウジの領土が数百マイルにわたって向き合い、難民流入や武装勢力の越境はサウジにとって切実な脅威だ。停戦交渉が停滞する中で、事情に通じた関係者は、ムハンマド皇太子が「行き詰まりを打開するにはトランプ氏自身の圧力が不可欠だ」と見ていると証言する。これまで高位の関与が限定的だった米国が、どこまで本腰を入れるのかが問われている。
会場を後にした投資家たちの背中とは対照的に、スーダンの空にはいまも煙が立ちのぼっている。
