トランプ米大統領、BBCを名誉毀損で提訴　賠償100億ドル請求

※記事を視覚化したイメージであり、実際の事象とは異なります。

2025.12.16

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ドナルド・トランプ米大統領が、英BBCの番組で自分の演説が不適切に編集されたとして、米東部時間2025年12月15日にフロリダ州マイアミの連邦裁判所へ提訴した。訴状では名誉毀損に加え、州の消費者保護法違反も主張し、損害賠償は各50億ドル、合計100億ドルを求めている。

編集の数十秒が、視聴者の判断を変える

問題とされたのは、BBCの時事番組Panoramaで放送されたドキュメンタリー『Trump: A Second Chance?』の一部だ。2021年1月6日の演説の別々の箇所をつなぎ、連続発言のように見せたとトランプ氏は主張する。切り取りは判断材料を変えるため、情報面で直接影響が出る。

BBCは編集が誤った印象を生んだとして謝罪し、番組を再放送しない方針も示したが、法的責任は争う姿勢だ。短い切り抜きがSNSで回る時代、受け手は元の文脈を確認する手間が増える。これは時間の間接影響で、事実確認の負担が個人に寄りやすい。

訴えの柱は2本ある。1つは名誉毀損で、米国では公人が勝つには「実際の悪意」、つまり虚偽と知りながら、または重大な疑いを無視して発信したことの立証が壁になる。もう1つはフロリダ州の欺瞞的・不公正商慣行を禁じる法律で、報道が「取引」に当たるかが焦点となり得る。

今後の分岐は大きく2つだ。裁判所が表現の保護を重視して早期に棄却するか、編集の意図やチェック体制をめぐり証拠開示が進むかで、BBC側の負担は変わる。トランプ氏はメディア相手の訴訟を重ねてきた経緯があり、今回は「編集の訂正」と「賠償」をどう結び付けるかが試金石になりそうだ。