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米国のトランプ大統領が、ベネズエラ発の麻薬密輸を断つための軍事作戦を「次は陸路だ」と広げようとしている。27日、フロリダ州パームビーチの別荘から米軍兵士へのオンライン演説に臨み、海上での取り締まりに続き地上での阻止にも「まもなく着手する」と表明した。軍事色を強めた麻薬対策は、国境や海上の現場、そして中南米の人々にどのような緊張と負担をもたらすのかを見ていく。
国境の現場で高まる緊張と不安
この数カ月、米軍はカリブ海や東太平洋でベネズエラから出港したとされる船舶を攻撃し、20回を超える作戦で80人以上が死亡したと報じられている。アルジャジーラなどの報道によれば、こうした作戦は表向きは麻薬取締りだが、実際にはベネズエラ政権への圧力としての意味合いも大きい。
海上での攻撃が続くなか、陸上での阻止が始まれば、軍事行動の舞台は国境都市や密輸ルートを抱える山岳地帯へと近づく。コロンビアやカリブ諸国では、密輸組織と一般住民が同じ地域で生活しており、攻撃の拡大が市民の犠牲や難民流出を招きかねないとの懸念も出ている。
国境に近い町では、すでに検問所の増設や上空を飛ぶ軍用機の音が、人々の日常を変え始めていると各紙は伝える。一方で、麻薬組織の暴力に長年さらされてきた住民の中には、治安改善への期待と、戦闘拡大への不安が入り交じる複雑な空気もあるだろう。
トランプ政権が陸上作戦に踏み込む狙い
トランプ氏は今回の演説で、海上ルートからの密輸は「ほとんど止めた」と自賛し、違法薬物の約8割を海で遮断したと主張したと米メディアは伝える。そのうえで、密売業者が海を避け陸路に切り替えつつあるとし、「陸上の方が簡単だ」と強調して地上作戦への移行を示唆した。
10月には、ベネズエラの麻薬組織を標的とした作戦について、議会に正式な宣戦布告を求める考えはないとも発言している。国家間の戦争ではなく、犯罪組織への「警察行動」と位置づけることで、より自由に軍を動かそうとしている構図が見える。
ただ、陸上の取り締まりは、港湾の検査強化のような後方支援にとどまらず、施設への空爆や特殊部隊投入へと広がる可能性もある。そうなれば、作戦の名目は麻薬対策でも、事実上はベネズエラ政権との軍事衝突に近づき、米議会や世論の分断をさらに深めかねない。
ベネズエラ情勢と麻薬対策のこれから
米国はマドゥロ政権を正統な政府と認めず、経済制裁や外交圧力に加えて今回のような軍事作戦を重ねてきた。ロイターやブルームバーグの報道では、カリブ海への艦船や戦闘機の派遣が続き、ベネズエラ側も軍を動員して対抗姿勢を強めているとされる。
中南米では、コロンビアの麻薬撲滅作戦やメキシコの「麻薬戦争」など、軍隊を前面に出した対策が暴力の長期化と市民の被害拡大を招いた例が少なくない。今回の陸上作戦の構想にも、麻薬供給を一時的に減らせても、組織が別ルートや別の犯罪に活路を見いだすだけではないかとの懸念が重なる。
トランプ政権の強硬路線は、ベネズエラや周辺国の人々にとって、制裁と治安悪化、そして移動の自由の制限という三重の負担を押し付ける可能性がある。軍事力に依存するだけでは麻薬問題は解けず、そのコストを誰がどこまで負うのかという問いが、静かに突き付けられている。
