本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
ホワイトハウスの執務室で、トランプ米大統領が受話器を取ったのは24日だった。相手は中国の習近平国家主席。わずか数週間前、両首脳は韓国で対面会談を行ったばかりだが、今回は電話越しに台湾問題が前面に押し出された。日中関係が緊張する中での一歩は、米中それぞれの思惑を映す場ともなった、静かな週明けの出来事だった。
米中首脳、電話でも続いた駆け引き
米中両政府によると、24日の電話会談では、習氏が台湾に関する中国の「原則的立場」を改めて説明した。中国外務省は詳細を伏せつつも、台湾をめぐる基本線に変化はないと強調した形だ。同省はあわせて、トランプ氏が台湾問題の中国にとっての重要性を理解していると応じたとも伝え、対話継続の余地を示そうとした。
会談後、トランプ氏はSNSに、米中関係は「非常に強固だ」と投稿し、習氏が来年後半に国賓として米国を訪れると明かした。表向きには関係の安定を演出しつつも、台湾を挟んだ対立や技術・安全保障をめぐる摩擦は続いている。電話会談は、その綱引きが長期戦になることを示す一場面である。
台湾と戦後秩序をめぐる中国の狙い
中国側の説明によれば、習氏は会談で、日本統治から中国への台湾の「回帰」は戦後国際秩序の重要な要素だと指摘した。日本を名指しはしなかったが、米中が第2次大戦でファシズムや軍国主義と戦った歴史に触れ、その「勝利の成果」を共に守るべきだと訴えた。戦後秩序という言葉を通じ、台湾の地位を既定のものと位置づけようとする語り口である。
背景には、高市早苗首相が台湾有事への備えに言及し、中国が強く反発している現状がある。中国側は、高市氏の発言は戦後の枠組みに反すると主張し、日本をけん制している。そこに米国との対話を重ねることで、台湾をめぐる議論でトランプ氏を自国の立場に引き寄せ、日米の足並みに揺さぶりをかける思惑もにじむ。こうした緊張を、隣国の韓国大統領は日中双方の首相と会いながら静かに見守っている。
フェンタニルと大豆、沈黙した論点
電話会談でトランプ氏が前面に出したのは、むしろ別の課題だった。合成オピオイドの一種で、米国で薬物危機の象徴となっているフェンタニル対策や、中国による米国産大豆の追加購入で「重要な進展」があったと強調したのである。両分野は、10月末に韓国の基地で開かれた首脳会談でも合意の柱とされていた。
一方で、トランプ氏は台湾や日中関係への言及を避けた。希土類や関税といった経済交渉でも成果を誇示してきた政権にとって、国内の有権者に伝えやすいのは、薬物対策や農産物輸出の数字である。習氏との対話の中身が安全保障から経済協議まで幅広く絡み合うなか、どの論点を公に語るかが、それぞれの優先順位を映し出しているように見える。
電話線の向こうで交わされた言葉の多くは公表されていないが、台湾と戦後秩序、そして生活に直結する経済の話題が絡み合う構図は、当分途切れることはなさそうだ。
