TSMC元幹部の機密持ち出しで 台湾高等検察署が捜査に着手

TSMC元重役が先端技術流出疑惑 台湾当局、知財保護へ本格調査

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フラッシュを浴びながら記者のマイクが突き出される中、台湾の龔明鑫経済部長は言葉を選びながら口を開いた。半導体受託製造最大手TSMCで長年要職を務めた羅唯仁氏が、退職前に先端プロセスの機密を持ち出したと報じられたからだ。台湾高等検察署の知的財産検察分署はすでに事件として受理し、違法性の有無を調べる本格的な調査に入った。国家と産業の中枢を支える技術が、個人のキャリアの動きと絡み合いながら揺れている。

TSMC元幹部への疑惑、2ナノ技術とIntel転職が交差する

台湾メディアによれば、TSMCで企業戦略発展を統括するシニア・バイス・プレジデントを務めていた羅氏は、2025年7月末の定年退職を前に、部下に対して最先端プロセスの説明を求めたとされる。対象は回路線幅2ナノメートル(2nm)の次世代量産技術や、その先をにらんだA16(1.6nm)、A14(1.4nm)といったプロセスで、いずれも同社の「切り札」と位置づけられる領域だ。その際に関連する機密文書を大量に印刷し、自身で持ち出したとの疑いが報じられている。

一部報道は、羅氏が退職時に80箱を超えるデータや書籍を社外へ搬出したと伝える。さらに10月末ごろ、古巣でもある米半導体大手Intelに再就職したとされ、TSMC内部で不信の目が向けられた。台湾高等検察署は11月19日、知的財産検察分署が事件番号を付して捜査を開始したと公表し、持ち出し行為が営業秘密侵害や他の法令違反に当たるか慎重に見極めると説明した。現時点で羅氏の刑事責任が認定されたわけではなく、事実関係の確認が焦点となっている。

TSMC側も社内調査と並行して証拠収集を進め、必要に応じて民事・刑事での法的措置を検討しているとされる。羅氏は21年にわたりTSMCの技術戦略を担い、その前はIntelで先端技術開発や工場運営に携わってきた経歴を持つ。世界の最先端を競う2社を熟知する人物だけに、どこまでが正当な知識と経験の持ち運びで、どこからが違法な機密流出なのか、線引きのあり方も今回の調査で改めて問われることになりそうだ。

国家安全法と「核心技術」、半導体立国が背負う重さ

経済部の龔部長は11月19日、今回の問題を「国家安全保障」「産業全体」「個別企業」の3つのレベルで注視していると記者団に語った。特に国家安全保障の観点では、経済部が高検と協力し、半導体などの中核的重要技術の管理体制を説明しながら、国家安全法違反の有無を確認するという。国家安全法は台湾における安全関連の基本法で、「核心重要技術」を国外勢力などに流出させた場合に刑事罰を科す条項を含む。2025年8月には、別のTSMC元社員らが日本企業で働きながら技術を不正に持ち出した疑いで、同法が初めて適用されたばかりだ。

TSMCは現在3ナノプロセスを量産中で、2ナノは2026年前半の量産開始、その先のA16やA14もそれぞれ数年後の量産が計画されていると報じられている。これらは性能と省電力性を大きく左右する基盤技術で、スマートフォンやサーバーのみならず、防衛関連機器にも波及し得る。龔部長は、こうした技術が国外の競合に渡れば台湾の半導体サプライチェーンや顧客との関係に影響が出かねないとしつつも、個別企業の損失への対応はTSMCの判断を尊重し、必要に応じて政府が支援する姿勢を示した。

一方で、記者から「重要技術の流出防止策は十分か」と問われた龔部長は、すでに関連する仕組みを構築しており、中核的重要技術の範囲を情勢に応じて更新していくと説明した。機密管理や社員の移籍は、企業の競争力と個人の自由なキャリア形成の間で常に緊張をはらむ。今回は、退職と転職という日常的な出来事が、国家の根幹産業を揺らしかねない問題へと連なった。台北の検察庁舎の静かな廊下では、書類を運ぶ職員の足音だけが響き、その行方を見守っている。

参考・出典

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