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沿岸の警報が鳴り、黒海のトゥアプセ近くで無人艇4隻が接近した。1隻が海岸近くで爆発し、衝撃で建物の窓が割れ、ガレージやボートハウスが損傷した。現地対策本部は死傷者なしと発表し、ロシア鉄道は貨物の運行制限を2025年11月13日まで延長した。燃料輸出の要所で起きた小さな爆発は、補給と輸送の大きな流れを揺らした。
波打ち際で起きた爆発
2025年11月10日、クラスノダール地方のトゥアプセ沖でロシア側はウクライナの無人艇（USV: 無人水上艇）4隻を無力化したと発表した。うち1隻は海岸付近で爆発し、2階建て住宅の窓ガラスが割れ、近隣のガレージやボートハウスにも被害が出たという。消防と救急が対応し、死傷者は確認されていない。
この発表は、同地方の対策本部が報道陣に伝えた内容で、現場の被害は限定的とされる。一方で、無人艇の侵入が港湾至近で起きた事実は、防護の継続課題を浮かび上がらせる。沿岸監視や障害物設置、電子戦による無力化など、港湾防衛の層をどう厚くするかが次の論点になる。
港の機能と滞る流れ
トゥアプセは燃料輸出の拠点として知られ、周辺の製油所や積み出し施設が海上輸送を支える。業界筋や船舶追跡のデータでは、11月初旬の攻撃以降、港の燃料輸出が停止し、製油所も処理を止めたと伝えられている。積み替えや在庫の繰り回しには時間がかかり、出荷計画の再編が続く。
鉄道側でも動きがあった。ロシア鉄道はトゥアプセ方面への貨物輸送の制限を2025年11月13日まで延長すると表明した。線路の安全確保とヤードの受け入れ能力の調整は不可欠で、荷主は他港への振り替えや一時保管でしのぐ局面が続く。港が一部でも止まれば、背後の物流に細かな歪みが広がる。
広がる無人艇戦の重み
海上での無人艇は、搭載量や航続距離の向上で沿岸施設や艦艇への脅威を増している。ウクライナ当局は最近、長距離型の海上ドローンを公開し、黒海全域への到達をうたった。安価で分散した攻撃手段は、防衛側に常時の監視と多層の対処を強いる。今回のように被害が限定的でも、運用側の判断は慎重になる。
港は単なる設備ではなく、輸送と精製、在庫と価格の節目が重なる結節点である。波打ち際での小さな爆発が、出荷や鉄道のダイヤにまで影を落とす。攻撃と防御が拮抗する間は、稼働率と安全余力の両立が試され、迂回と分散の計画性が評価を左右する。
