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英政府は2025年12月16日、国内政治への「外国からの資金」をどう遮断するかを点検する独立調査を命じた。発端は、右派ポピュリスト政党Reform UKのウェールズ元代表だったネイサン・ギル被告が、欧州議会でロシアの利益に沿う発言をする見返りに賄賂を受け取ったとして有罪となった事件だ。政治資金のルールは整っているはずなのに、実務の抜け穴が残っているのではないかという問題提起である。
事件が照らした「影響工作」の現実
Reutersは、ギル被告が2018年から2019年にかけて約40,000ポンドを受け取り、欧州議会で親ロシア的な演説を行ったとして、10年超の禁錮刑を受けたと報じた。AP通信も、被告が賄賂を受け取って親ロシアの主張を広めた罪で10年以上の刑に処されたことが、英政府の対応を促したと伝えた。個人の逸脱に見えても、議会の発言が「買える」こと自体が民主主義への打撃になる。
注目すべきは、言論が直接ねじ曲げられる点だ。単なる寄付ではなく、政策や国際世論に響く場所での発言に対価が支払われると、表の政治資金規制だけでは捕捉しにくい。Reutersによれば、事件では制裁対象となっている元ウクライナ議員オレフ・ボロシン氏からの支払いと指示が証拠として示されたという。政治家個人への接近が、制度の外側から意思決定をゆがめ得ることを示した。
調査の射程と、政党が問われる実装
調査は元高級官僚フィリップ・リクロフト氏が主導し、2026年3月末までに提言をまとめる予定だと、ReutersとAP通信が報じている。焦点の1つは暗号資産寄付である。暗号資産寄付は、ひとことで言うと銀行送金より「資金の出どころ」を追いにくい形で政治に資金が入り得る仕組みだ。AP通信によれば、調査は政治資金ルールの妥当性や監督の実効性を点検する一方、2016年のEU離脱国民投票をめぐる介入疑惑は扱わない。
政党側にも宿題が残る。Reutersは、Reform UKがギル被告と距離を置きつつ、首相が党に対しロシアとのつながりの有無を点検するよう促したと伝えた。現行の寄付ルールでは、英選挙管理委員会(Electoral Commission)が「受け取ってよい寄付」の条件を示しており、たとえば英選挙人名簿に登録された個人や、英国で事業を行う英国登録企業などに限定される。だが、形式上は条件を満たしても実質的に海外資金が紛れ込む余地がないかが問われる。制度を強めれば健全性は上がる一方、監視コストや政党運営の負担も増える。誰がその負担を引き受けるのかまで、次の選挙を見据えて議論が迫られる。
参考・出典
- UK to review foreign interference in politics after ex-Reform member's Russia bribery case (Reuters, 2025-12-16)
- Lawmaker's bribery conviction sparks UK probe into foreign financial interference
- UK to hold inquiry into foreign financial interference in domestic politics
- Who can you accept a donation from? (Electoral Commission guidance, last updated 2025-09-11)
