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特別検察官が動いた。2025年11月7日、尹錫悦前政権の疑惑を捜査するチームは、政党法違反の罪で世界平和統一家庭連合の韓鶴子総裁を追起訴し、尹前大統領夫人の金建希氏や教団の元幹部らも同容疑で追起訴した。与党代表選をめぐる集団入党の工作があったとされ、宗教と政治の結びつきが改めて問われている。
追起訴が示す構図
特別検察官の発表によると、金氏は知人の占師と共謀し、2023年3月の与党「国民の力」代表選で支援候補を押し上げるため、教団信者の集団入党を働きかけた疑いがある。教団側に政治的な見返りを打診したとされ、韓総裁や元幹部がこれを承諾したという。
教団の動員力を政党内の選挙に投入すれば、党員投票の重みが増した局面で決定的影響を及ぼしうる。調達や連絡の実務を誰が担い、どの段階で合意が形成されたかが鍵だ。特別検察官は当日の通話記録や入党申請の動線も合わせて解析しているとみられる。
集団入党の疑いと政党法
政党法は、党員資格の取得と党運営の公正を守るための規律を置く。不特定多数の動員や利益供与を伴う入党勧誘は、党内民主主義をゆがめる行為として厳しく問われうる。代表選の結果を左右する目的で組織的な集団入党が図られたなら、法の趣旨に真っ向から反する。
疑惑の中核は、入党の自発性が保たれていたか、組織的指示があったかだ。入会金や会費の肩代わり、申請書作成の代行、期日直前の一斉提出といった具体的行為があれば、違法性の認定に近づく。名簿作成や連絡網の存在も、組織的関与を示す間接証拠となりうる。
揺れる教団と政界の距離
教団は長年、社会活動と政治の距離をどう保つかで注目を集めてきた。今回の疑惑は、政党の中枢に近い代表選へ宗教組織が影響したとされる点で、波紋が大きい。与党側の一部議員への資金提供疑惑なども報じられ、接点の多層性が浮かぶ。線引きの検証は続く。
一連の手続きは、逮捕や保釈を挟みながら進んできた。韓総裁には医療上の理由による一時的釈放が認められた局面もあったが、押収資料の分析や関係者聴取は積み上がる。夜更けに事務所の灯りが落ちると、長い調査の余韻だけが残り、次の尋問票が静かに整えられる。
