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韓国の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)総裁、韓鶴子被告(82)に対する初公判が12月1日、ソウル中央地裁で始まった。尹錫悦前大統領の妻である金建希被告らに高級ブランド品や金銭を渡し、政権側の便宜を図ってもらおうとしたとして、政治資金法違反などの罪に問われている。韓被告側は起訴内容を全面的に否認し、健康不安を理由に保釈も求めている。この裁判は、宗教団体トップの判断が信者と政治の双方にどのような負担を残すのかを問う場にもなりつつある。
信者の献金はどこへ向かったのか 揺らぐ現場の信頼
ソウル中央地裁の前には早朝から信者らが列をつくり、韓被告の出廷を見守った。韓被告が今春に後継指名したとされる孫の文信出氏の姿も報じられ、組織内ではなお強い求心力を持つ様子がうかがえる。一方で、信者からの献金が政治家への資金や高級品に使われた疑いが出たことで、「自分たちの信仰が何に費やされたのか」という不安も広がっている。
特別検察官チームは、韓被告が元幹部と共謀し、金被告にブランドバッグや宝飾品、高麗人参などを贈ったほか、前政権与党の国会議員に約1億ウォンを渡すよう指示したとみている。ロイター通信や韓国紙「コリア・タイムズ」によれば、その原資は教団に集まった献金や事業収益だった疑いがある。信者の財布と政治資金が事実上一体となっていたのかどうかが、審理の焦点のひとつだ。
韓被告側は、すべては元幹部の「政治的野心」による単独行為であり、自身は政治にも資金の流れにも関心がなかったと主張している。初公判でも起訴内容を全面否認し、共犯関係は成立しないとの立場を示した。だが、信者の側から見れば、長年頂点に立ってきた指導者が資金管理の責任をどこまで負うべきかという問いは残る。宗教と政治の境界があいまいになったとき、そのコストをだれが負担するのかが、現場の切実な関心事となっている。
特別検察と国際社会が見る「政治と宗教」の癒着構図
今回の裁判は、尹前政権を巡る汚職疑惑の一部として位置づけられている。韓国の特別検察官チームは、政治資金法違反や請託禁止法違反、証拠隠滅教唆など複数の容疑で韓被告を起訴し、ソウル中央地裁は9月に逮捕状を発付した。証拠隠滅の恐れがあると判断されたためで、韓被告は一時、健康上の理由で釈放されたものの、その後再収監され、再び保釈を求めている。
韓国メディアや「コリア・タイムズ」の報道では、教団トップが政権中枢や与党議員と接点を持ち、選挙前から便宜供与を期待して金品を差し出したとする検察側の構図が繰り返し伝えられている。ロイター通信も、今回の贈答疑惑が前政権への信頼をさらに揺るがせていると指摘する。ただし、防御側は一貫して「誤解とゆがめられた認識に基づく起訴だ」と反論し、政治と宗教の関係をめぐる評価は真っ二つに割れている。
旧統一教会を巡っては、日本でも安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、政治との関係が厳しく問われ、政府が日本法人の解散命令を裁判所に請求した経緯がある。韓国で進む裁判は、その本拠地で宗教団体と政治権力の距離をどう保つのかという、より構造的な問題を浮かび上がらせた。信者の献金、政治家の側の受け止め方、そして司法の判断――三者のバランスが、今後の宗教と民主主義のあり方を静かに左右していくだろう。
