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米連邦政府の資金手当てが難航し、政府機関の一部停止が現実味を帯びている。バンス副大統領は、政府は閉鎖に向かっているとの認識を示し、責任は民主党にあると主張した。節目は2025年10月1日だ。市場や家計に波紋が広がるかどうか、残された時間はわずかである。
ホワイトハウス会合で交錯した思惑
与野党指導部はホワイトハウスで最終盤の調整に臨んだ。2025年9月30日、会合後にバンス氏は、民主党が正しいことをしないため閉鎖に向かっていると語り、考えを改めるよう促した。両党の距離は依然として縮まっていない。
民主党のシューマー上院院内総務は、医療保険をめぐる要求を大統領に伝えたと述べ、依然として大きな隔たりが残ると強調した。下院のジェフリーズ院内総務も、口約束だけでの合意は受け入れない姿勢を示し、与野党の信頼は深まっていない。
一方で共和党内にも妥協の余地を探る動きがある。つなぎ予算で当面の運営を確保し、その後に政策の溝を詰める案だが、党内の反対論が手続きの壁を一段と高くしている。首都では、期限までに打開策を引き出せるかが最大の関心事となっている。
つなぎ予算と医療をめぐる条件
共和党が下院で通したつなぎ予算案は、2025年11月21日までの政府資金を手当てする内容だ。新年度の各歳出法が未成立のままでも、一定期間は前年度水準で運営を続ける設計で、政府停止の回避を最優先に据える。与党にとっては時間を稼ぎ、個別法案の交渉を続ける狙いがにじむ。
これに対し民主党は、中間層の保険料を抑える税額控除の延長や、低所得者向け医療の削減撤回を強く求める。医療研究費の目減り回避も譲れないとし、短期の資金繋ぎに社会保障の条件を抱き合わせる構図が続く。双方の優先順位が正面からぶつかっている。
上院では与党が多数でも、成立には野党の同意が必要となる局面が多い。与野党の信頼欠如が重なれば、短期法案であっても可決までの経路は細い。ホワイトハウスの意思決定も、最終局面で不透明さを残し、交渉の行方に読みづらさが増している。
閉鎖が動かすカレンダー
統計カレンダーも揺らぐ。米労働省統計局が予定する9月分の雇用統計は、2025年10月3日 21:30（日本時間）に公表予定だ。閉鎖が長引けば、こうした経済指標の配信が遅延し、市場の不確実性が一段と増す可能性がある。企業の投資判断や家計の期待にも影響が及び得る。
政府が停止すれば、非必須業務に指定された職員は一時帰休となり、必須業務の担当者は無給のまま勤務を続ける事態が生じる。各省庁の計画は異なるが、過去の閉鎖でも現場の負担は急速に積み上がり、サービスの遅延が広がった。空港や公園、研究機関まで幅広い現場で影響が連鎖する。
事業者や自治体も連鎖する。政府契約に依存する地域では資金繰り不安が広がりやすく、旅行や公園などの消費関連にも影が差す。短期なら影響は限定的であっても、交渉が長引けば家計と景気の心理に重くのしかかる。政治の綱引きが、日常の時計を止めかねない局面に入っている。
