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米国の仲介で、米・イスラエル・カタールの高官が現地時間7日、ニューヨークで非公開の会合に臨む。9月にイスラエル軍がドーハを空爆し、カタールとの関係が急激に冷え込んでから初めての本格的な三者協議だ。ガザ停戦後の和平プロセスを進めつつ、同盟国どうしの衝突で揺らいだ信頼をどこまで立て直せるのかが問われる。
仲介役カタールに刻まれた空爆の傷跡と、地域への波紋
9月9日、イスラエル軍はガザ紛争の相手であるハマス幹部を狙い、カタールの首都ドーハ近郊を空爆した。標的とした最高幹部は生存した一方で、ハマス側の構成員と共にカタール人警備員1人が死亡し、米軍基地も抱える同盟国の領土が攻撃を受けた事実が中東に衝撃を与えた。イスラエルが湾岸産油国の領内を直接攻撃したのは初めてとされ、地域での孤立を深める転機にもなった。
仲介役としてガザ停戦交渉を支えてきたカタールは、この攻撃を主権侵害だと強く非難し、アラブ・イスラム諸国の緊急首脳会議をドーハで招集した。ガザ協議の場からはいったん距離を取り、イスラエルに対しては謝罪と補償を求める姿勢を明確にしたうえで、国連安全保障理事会にも対応を訴えた。安保理は全会一致でカタールの主権尊重を掲げる声明を採択し、米国も名指しは避けつつ攻撃を問題視したが、「なぜ同盟国どうしの行動を止められなかったのか」という不信は湾岸各国に残ったままだ。
ニューヨーク会合が描く「三角関係」の再構築
こうした経緯を受け、米ニュースサイト「Axios」などによれば、7日の会合にはトランプ政権のウィトコフ特使、イスラエルの情報機関モサドを率いるバルネア長官、そしてカタール側の高官が出席する。場所はニューヨークで、ガザ停戦合意後では最もハイレベルな三者協議とされる。目的は、ドーハ空爆で傷ついたイスラエルとカタールのパイプをつなぎ直し、今後のガザ和平の実務を進めるうえでの「連絡・協議の枠組み」を整えることにある。
米国にとってカタールは、ガザ仲介と地域最大級の米軍基地という二重の意味で欠かせない。イスラエル側も、9月末にネタニヤフ首相がカタール首相へ電話で謝意と遺憾を伝え、空爆が外交的に大きな誤算だったことを事実上認めた。ただ、イスラエル国内ではカタールへの譲歩を疑問視する声も根強い。カタールは一方で、米国との安全保障協力は「これまで以上に強固だ」と公式声明で強調しつつ、再び同様の事態が起きない保証を求めている。ニューヨークでの対話は、同盟国どうしの武力行使が和平仲介と安全保障の枠組みにかけた負荷をどこまで軽減できるのか、その出発点を探る試みだと言える。
