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米国防総省は2025年11月16日、東太平洋の公海上を航行していた麻薬密輸に関与したとされる船舶を米軍が15日に攻撃し、乗員3人が死亡したと発表した。作戦は9月初め以降で21件目で、死者は80人超に達する。合法性への疑問が広がるなか、同日にはルビオ国務長官がベネズエラの「カルテル・デ・ロス・ソレス」を外国テロ組織(FTO)に指定すると表明した。刑事の領域で扱われてきた問題が、安全保障の文脈へと軸足を移しつつある。
東太平洋で何が起きたのか
米南方軍はソーシャルメディアで、攻撃対象の船が既知の密輸ルートを航行し、薬物を積載していたことを情報機関が確認したと説明した。場所は東太平洋の公海上で、合同任務部隊が「サザン・スピア」作戦として実施したとした。現場の詳細座標や積載物の種類は明らかにしていないが、行動を正当化する事実は揃っていると主張した。
今回の攻撃は、9月以降に米軍が実施した麻薬密輸船への致死的措置の連続の一部である。国防総省の集計では死者は累計で80人を超え、東太平洋とカリブ海の双方で作戦が拡大している。米南方軍(中南米を担当する統合司令部)は監視体制を強め、広域の海域で対応可能な態勢を維持している。
米側は、これらの船舶がテロ指定済みの犯罪組織に運用されていると主張し、阻止のためには軍事力の使用も正当だとする。一方、現場での臨検・拿捕中心だった従来の対麻薬取り締まりから、遠距離での武力行使が前面に出る運用へと重心が移る。抑止の効果と誤認のリスクが、同じ海面に揺らいでいる。
指定の意味と揺れる正当性
同じ16日、ルビオ国務長官はベネズエラの「カルテル・デ・ロス・ソレス」をFTOに指定すると発表した。FTO指定は、米国内で当該組織への物質的支援を犯罪とし、資金や物流を遮断する制度である。米政府は同組織が他の指定勢力と連携し、薬物を米国へ流入させていると主張し、海上の実力行使と組織指定を並行させることで圧力を重ねている。
海上攻撃の合法性をめぐっては、議会の与野党の一部、人権団体、同盟国から疑問が出ている。政権は司法省の意見書を根拠に権限を主張するが、具体的な証拠や脅威の即時性の開示は限定的だ。証拠の提示と事後検証の枠組みが十分でなければ、国際法上の評価と各国の信頼を損なうおそれがある。
地域情勢では、米軍がカリブ海周辺で艦艇や航空戦力の展開を強め、存在感を示している。象徴的な配備は抑止にも威圧にもなりうるが、緊張を高める副作用も避けにくい。対麻薬を掲げた作戦は、法執行と武力行使の境界を試し続ける。海は静かでも、決定の重みは航跡のように残る。