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壇上でメモを閉じたイランのアラグチ外相が、言葉を選んで締めくくった。2025年11月16日、トランプ米大統領が先週示唆した核協議再開に触れ、米国の現在の姿勢は「対等かつ公正な交渉」の用意を示していないと述べた。6月の軍事衝突で細った対話の糸は、なお結び直せていない。
戦火の余韻が残す溝
2025年6月13日、イスラエルはイラン国内の軍事・核関連拠点に大規模な空爆を行い、複数の施設が被害を受けた。攻撃は数日に及び、両国は報復の応酬で緊張を極限まで高めた。核関連施設への打撃は、以後の協議を重くした。
続く局面で、2025年6月22日には米軍がイランの核施設を攻撃したと報じられた。軍事行動は短期間で終息したが、交渉の場に持ち込まれる不信は深く、技術だけでなく手続きの正当性まで争点が広がった。
12日間の戦闘が収束したのちも、核計画を巡る対話再開の試みは相次ぎながら実を結ばなかった。戦中と戦後の認識の差は、検証の方法や段取りの順番にまで影を落とし、日常の回復を急ぐ国内世論とも交錯した。
止まった時計の中心にある濃縮
戦端が開く前、イランと米国は間接協議を5回重ねていたが、行き詰まりの核心はウラン濃縮(核燃料用にウラン濃度を高める工程)にあった。米側は放棄を求め、イランは主権の範囲だと主張する。その隔たりが、合意文面の細部で何度も露呈した。
戦闘後、トランプ氏は協議の可能性に言及したが、テヘランは対等性が担保されない場に応じる考えはないと示した。外相は「戦争で得られなかったものを交渉で得ることは期待できない」とし、圧力を前提にした交渉様式を退けた。
同じ発言の文脈で、イラン側は尊厳と相互敬意を条件に外交に開かれているとも述べた。言い換えれば、段差のある席次ではなく、手順と表現のひとつひとつが対等である保証だ。使われた語感は柔らかいが、中身は譲らない。
再開への条件、外交の作法
アラグチ氏が登壇したのは、テヘランで開かれた「国際法は攻撃されている」と題する会合だ。戦時の行為と法の境界線を問い直す場で、彼は交渉の作法を語った。誰が呼び、どの議題から始め、どう記録するか。細部の扱いが信頼の試金石になる。
当面の課題は、濃縮と制裁、そして検証の設計をどう束ねるかに尽きる。段階的な相互措置をとるにせよ、国内の政治日程に追われれば足並みは乱れる。戦火の痕が残る以上、戻すのは数字ではなく、手触りのある安心だ。
それでも、尊厳と敬意を条件に外交へ開くという言葉は、行き場のない硬直に微かな出口を示す。やがて静けさが交渉のリズムを取り戻すなら、その始まりは言い方と座り方に宿るのだろう。