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トランプ米大統領は12月10日、ベネズエラ沖で米当局が制裁対象の大型石油タンカーを拿捕したとホワイトハウスで発表した。最大級の船だと強調し、積み荷の原油については「最終的に米国が確保することになるだろう」と述べ、マドゥロ政権への圧力を一段と強めた形だ。
押さえ込まれる原油 市民と市場へのしわ寄せ
拿捕されたのは、イランやベネズエラ産の制裁対象原油を運んでいたとされるタンカー「スキッパー」だと複数の米メディアが伝えている。船はかつて「アディサ」の名で運航され、米財務省からテロ組織に利益をもたらす密輸ネットワークの一角として制裁指定を受けていた経緯がある。
米連邦捜査局(FBI)や沿岸警備隊などがヘリコプターから突入し、カリブ海上で船体を制圧したとされる。公開された映像には、迷彩服の隊員がロープを伝って甲板に降下する様子が映り、制裁逃れの輸送網に対する「見せしめ」の色彩もにじむ。
ベネズエラ政府は声明で「国際的な海賊行為であり、資源の露骨な略奪だ」と強く非難し、国際機関に訴える構えを示した。外貨獲得の柱である原油輸出がさらに細れば、慢性的な物資不足やインフレに苦しむ市民生活への打撃が避けられないとの見方も出ている。今回の作戦は、麻薬取締り名目で米軍が同海域に大規模展開して以降、タンカーを直接狙った初の行動とされ、市場関係者によると原油価格の反応は小幅にとどまったが、制裁逃れに関与する「ゴースト船団」への抑止が強まれば、今後の供給不安要因として意識されかねない。
制裁履行か越境行為か 広がる法的グレー
米政権側は、タンカーがイラン革命防衛隊やヒズボラなど「テロ組織」に資金を流す密輸ネットワークの一部であり、長年にわたり財務省の制裁対象となってきたと説明する。司法当局は、米国内の裁判所が出した船舶差し押さえ令状に基づく法執行であり、制裁違反とテロ資金遮断を目的とする正当な措置だと強調している。
一方で、公海上で米国が武装部隊を投入して他国船舶を拿捕する手法には、越境的な制裁執行だとして国際法学者や人権団体から疑問の声が上がる。近年の対麻薬作戦では、疑わしい船舶への空爆などで多数の死者が出たとされ、今回の拿捕も含め作戦の法的根拠や交戦規則を検証すべきだと米議会の一部は求めている。
経済制裁の重ね掛けにとどまらず、海上で実際に船と積み荷を押さえる今回のような手法は、マドゥロ政権に新たな圧力となる半面、代償を払うのが誰なのかという問いも突きつける。強硬な制裁履行が国際法秩序や海上輸送の安全を損なわず、資源に依存する脆弱な国の市民にさらなる犠牲を強いない形で行われるのか、米国を含む各国の説明責任が重くなっている。
参考・出典
- US seizes sanctioned oil tanker off coast of Venezuela, Trump says
- Trump Admin Drops Video Showing U.S. Forces Swarming Oil Tanker Off Venezuelan Coast
- Trump says the US has seized an oil tanker off the coast of Venezuela
- US accused of 'piracy' after footage shows armed troops storm tanker off Venezuela
- US seizes Cuba-bound Venezuelan oil tanker, ramping up pressure on Maduro
