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米国で一度得た市民権が、手続きの不正を理由に後から取り消される可能性が改めて注目されている。米紙The New York Timesは2025年12月17日、米市民権・移民局(USCIS)の内部指針を基に、帰化した市民の市民権剥奪を2026年に月100~200件の規模で扱うよう現場に求める方針だと報じた。数字の大きさ以上に、運用の姿勢が変わる点が焦点になる。
「件数」を求める指示が現場を動かす
報道によると、USCISが2025年12月16日に出した指針は、各地の現場事務所に対し、市民権剥奪(denaturalization)の案件を集めて移民訴訟部へ回すよう求めた。市民権の取り消しは行政処分だけで完結しにくく、連邦裁判所での手続きが前提になるため、実務は「書類探し」から「訴訟の組み立て」へと重心が移る。
増加幅が強調されるのは、1990~2017年の市民権剥奪が年平均で約11件だったという移民法律リソースセンターの整理と比べて、桁が違うためだ。USCISの広報担当者は、移民関連の「詐欺との戦い」の一環として、帰化手続きで虚偽申告などがあったケースに注力する考えを示している。制度の狙いと、運用が生む圧力は切り分けて見なければならない。
帰化者が直面するのは「過去の申請の検証」
米国法では、市民権が「不法に取得された」場合や、帰化の過程で重要な事実を隠したり意図的に偽ったりした場合に、市民権を取り消す手続きが認められている。USCISも政策マニュアルで、取り消しは原則として連邦裁判所で争われ、民事と刑事で経路が異なること、そして政府側には高い立証責任が課されることを説明している。つまり、単純な“事務処理”ではない。
それでも「月100~200件」という目標が先に立つと、過去の申請書類や面接の記録が遡って点検され、本人は弁護費用や長期化の不安を抱えやすい。The Guardianは2025年夏、司法省が市民権剥奪を優先する方針に触れ、運用が広がれば政治争点化する可能性もあると伝えた。市民権はゴールのはずだが、今回の動きは「取得後の安定」をどう担保するかという問いを突きつけている。
参考・出典
- Trump administration seeks to ramp up denaturalization of some US citizens, New York Times reports(Reuters, 2025年12月17日)
- USCIS Policy Manual: Purpose and Background(Revocation of Naturalization)
- 8 U.S. Code § 1451 – Revocation of naturalization
- Trump seizes on ‘moral character’ loophole as way to revoke citizenship
- USCIS reverses course, reinstates halted naturalization ceremonies across New York
