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米通商代表部（USTR）は2025年12月16日、EUが米国のサービス企業に「差別的」な対応を続けるなら、EU側のサービス企業に手数料課金や外国サービスの制限など対抗措置を取り得ると警告した。USTRは、欧州企業が米国では活動しやすい一方、米企業はEUで訴訟や税、罰金、指令に直面していると問題視している。
矛先は「モノ」ではなくサービスへ
Reutersは、USTRがX（旧Twitter）への投稿で、EUと一部加盟国が米国のサービスに対して「嫌がらせ」のような訴訟、税金、罰金、指令を重ねていると非難したと伝えた。対照として、アクセンチュア、DHL、Siemens、Spotifyなどが米国では自由に活動できているとも主張した。輸入品の関税ではなく、サービス提供そのものに費用や制限をかける発想で、企業にとっては「市場に入るための通行料」を後付けされるような不確実性が増す。
標的になり得る企業名が示すメッセージ
Reutersによると、USTRは対抗の対象例としてAmadeus、Capgemini、Mistral、Publicis、SAPなどの名前も挙げた。個別企業を並べる狙いは、EUのデジタル規制を「理念の議論」から「損得の議論」に引き戻すことだろう。USTRは「米国法は、必要なら外国サービスへの手数料賦課や制限を認める」としており、関税のように国境で完結しない分、どの業種がどの手続きで影響を受けるのかが見えにくい点が企業の負担になる。
EUは「同じルール」を譲らず、交渉は難路に
The Business Timesは、欧州委員会の報道官が、EUの規則はEUで事業をする全企業に等しく適用され、差別なく執行すると述べたと報じた。The Vergeは、背景としてデジタル・サービス法（DSA）など、巨大ITに厳格な義務を課すEUルールを巡る摩擦があると伝えている。2025年8月の米EU共同枠組み合意や、その後の実施手続きが進む一方で、サービス分野の「公平」をどう定義するかは別問題として残った格好だ。次の焦点は、規制と通商の境界をどこに引くのか、という問いに移りつつある。
参考・出典
- US threatens countermeasures after EU fine on Musk's X
- Trump admin threatens retaliation against Spotify and others over EU tech regulation
- US threatens retaliation over ‘unreasonable’ EU tech regulations
- Section 301 – Digital Services Taxes
- EU-US trade relations: Council moves forward in implementing the tariff elements of the Joint Statement (28 November 2025)
