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資金が尽きかけた現場から、支援の呼びかけが重なった。国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)は2025年11月12日に共同声明を出し、スーダンやパレスチナ自治区ガザを含む少なくとも12の危機で飢餓が拡大していると警告した。必要な290億ドルに対し、10月末時点の拠出は105億ドル。各国に追加支援を求めた。
資金が足りず、配給は細る
声明は、人道支援への資金不足が緊急対応の機能を麻痺させ、配給の大幅削減を招いていると指摘した。とりわけ難民・避難民向けの食糧支援は限界に達し、対象を絞らざるを得ない局面が続く。学校給食や栄養支援の停止は、子どもや妊産婦の健康に直結する。
不足の規模は数字に表れる。最も危険にさらされる人々の支援に必要な推定290億ドルのうち、集まったのは105億ドルにとどまる。配分は薄まり、現金給付や配給量は縮小する。市場価格の高騰と相まって、脆弱な世帯ほど食卓からタンパク源が消え、負債と売却で暮らしの土台が削られていく。
FAOは、生活を支える農業支援の遅れが次の飢餓を呼ぶと訴える。種子や家畜の防疫、播種前の予防的な支援(アンティシパトリーアクション)は、価格が安く効果が大きい。雨期や作付けの節目に間に合えば、自給の芽を残せるが、資金が途切れれば畑は空白になり、援助依存が深まる。
危機が最も深い12地域と広がる16の焦点
共同報告は、今後の悪化が懸念される“飢餓ホットスポット”を16に特定した。その中でも壊滅的な食糧危機のリスクが差し迫る地域として、ハイチ、マリ、パレスチナ、南スーダン、スーダン、イエメンの6つを挙げた。いずれも暴力や経済衝撃が重なり、支援アクセスが細っている。
さらに、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、ミャンマー、ナイジェリア、ソマリア、シリアの6か国・地域を「非常に高い懸念」と位置づけた。指標としてはIPC(食料危機の段階分類)が用いられ、危機〜壊滅の段階にある人口が増えている。ガザやスーダンでは飢饉の回避が綱渡りだ。
上記の12に加え、ブルキナファソ、チャド、ケニア、バングラデシュのロヒンギャ難民の4つを含めて計16とした。地理の違いを超えて共通するのは、紛争や気候ショックに資金不足が重なる構図である。ホットスポットの地図は、食料安全保障が平和と制度の脆弱さに直結する現実を示す。
いま求められる“予防”の発想
WFPとFAOは、危機への事後対応から“予防”へ舵を切るべきだと強調する。ホットスポット報告は、向こう数か月の悪化を示す早期警戒であり、限られた資源を最も危険に近い場所へ先行投入するための羅針盤だ。早期の資金確保は、飢餓の波を小さくし、復旧コストを抑える。
予防の柱は3つに集約できる。命を守る即応配布、栄養と学校給食の維持、そして農と生計の保護である。だが現場では、紛争や検問による通行制限が配達を止める。人道アクセスの確保は資金と同じ重みがある。停戦や合意が整えば、トラックは走るし、現金給付も機能する。
FAOの屈冬玉事務局長は、飢餓の予防は長期の平和と安定への賢明な投資だと述べた。資金の途切れ目が命の途切れ目にならないよう、政府や企業、個人ができる拠出を積み上げる必要がある。支援の線が切れなければ、次の収穫と暮らしの再建に光が残る。