本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
WIPO(世界知的所有権機関)が2025年11月12日に年次統計報告書「WIPI(世界の知的財産指標)」を公表した。2024年の世界の特許出願は前年比4.9%増の約372万5千件で過去最多となり、首位は中国、続いて米国、日本の順だった。商標は0.1%減で横ばい、意匠は2.2%増。数字の重なりが、研究と製造の現場の手触りを伝える。
伸びが目立った国とそのにじみ
報告書は、世界の特許出願が5年連続で増加したと示す。成長を押し上げたのは中国、インド、韓国、日本の居住者による出願で、首位の顔ぶれは大きくは変わらない。先頭を走る中国を追い、米国と日本が位置を守り、韓国とドイツが続いた。勢いの差は地域で濃淡が出た。
伸び率で目を引いたのはインド、フィンランド、トルコだ。上位20の中でいずれも2桁増となり、インド+19.1%、フィンランド+15.4%、トルコ+14.6%だった。インドは居住者出願の強さが際立ち、フィンランドは国外出願の伸びが寄与、トルコは国内の底上げが効いたとされる。背景の違いが数字の表情を変えている。
日本は増勢に寄与したと報告書は記す。企業はコア技術の磨き直しを進めつつ、海外権利化の選別も進む。研究開発の効率化が進み、基礎から応用までの“面”で権利を押さえる動きが静かに広がる。順位は守ったが、質の競争は一段と厳しい。積み上げの確かさが問われている。
商標は横ばい、意匠は堅調
商標は世界合計で微減にとどまり、直近の減速局面からは落ち着きが戻った。国別ではブラジルやインド、ロシアが増加した。分野別にみると研究・技術関連が海外出願で最も厚く、健康、衣料、余暇・教育が続く。ブランド投資は選別が進み、守る領域が絞られてきた。
一方、意匠は増加し、製品やサービスの見た目や使い勝手を守る動きが続く。上位では中国が突出し、ドイツ、米国、イタリア、韓国が追う。上位5か国だけで世界全体の大半を占め、家具・家庭用品や繊維・アクセサリー、工具・機械が主要領域となった。つくり手の工夫が形として現れる。
商標が横ばいの一方で意匠は伸びた。この対比は、消費の強さが地域で揺れるなかでも、設計や体験で差別化を探る企業の姿勢を映す。短期の波はあるが、デザインを巡る競争は静かに厚みを増しているように映る。新製品投入の節度が、意匠の積み上げに置き換わる場面もにじむ。
技術の潮流と知財の組み立て
公開ベースで最新の2023年を見ると、技術分類ではコンピューター技術が世界で最大の比率を占め、電気機械、計測、デジタル通信、医療技術が続いた。過去10年を通じて、コンピューター技術だけが2桁成長を保ち、計測やデジタル通信も安定して積み上がった。デジタルの地の力が続いている。
デジタルは単独の分野ではなく、工場の制御や物流の最適化、診断の精度向上と結びつき、産業の細部に入り込む。比率の変化は、ハードとソフトを組み合わせる設計力の重要性が増していることの、静かな証言でもある。技術と市場の接点は、データを軸に再編されつつある。
基盤技術を特許で押さえ、商標で顧客接点を守り、意匠で体験を磨く。費用対効果の見極めは厳しさを増すが、各層を連動させた知財の設計こそが、次の成長の足場になる。出願の曲線が描く勾配は、その準備の確かさを教えてくれる。