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オーストラリアのマールズ国防相は12月4日、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS」を巡る米国のレビュー結果を正式に受け取ったと明らかにした。核推進潜水艦の供与を柱とする巨大計画の行方を左右しかねない文書だが、同相は米国の全面的な支持は揺らいでいないと強調した。本稿では、このレビューが豪州の防衛現場と納税者にどんな意味を持つのかを追う。
豪州の防衛現場と国民が感じるAUKUSの重み
AUKUSは、米国からの原子力潜水艦導入と、英国と協力した新型艦SSN-AUKUS建造を組み合わせる計画だ。豪政府は総費用を最大3,680億豪ドルと見積もり、史上最大の防衛投資だと説明する。造船や関連産業で約2万の雇用が生まれる一方、他分野の予算を圧迫しかねないとの懸念もある。
こうした中で6月、トランプ政権がAUKUS全体の「正式な見直し」に着手すると発表し、キャンベラには一気に不安が広がった。現在の通常動力潜水艦が老朽化するなか、原潜の受け取りが遅れれば豪海軍の戦力に空白が生じるとの見方がある。米議会では自国艦隊を優先すべきだという声も繰り返し出てきた。
今回マールズ氏は記者団に、豪政府はレビューの内容を精査中だと説明したうえで、米国はなおAUKUSを全面的に支持していると述べたとロイター通信などは報じている。10月の米豪首脳会談でトランプ大統領が計画推進の姿勢を示していたことも、現場に一定の安心感を与えている。
米国レビューの狙いと、なお残る不安
米国防総省のレビューは、AUKUSがトランプ政権の「アメリカ・ファースト」路線と整合するか、また米海軍の抑止力を損なわずに豪州へ原潜を供与できるかを検証する狙いがあったとされる。責任者を務めたエルブリッジ・コルビー国防次官は、米造船所の能力不足を以前から指摘してきた人物で、生産力の制約は今回も中心的な論点になった。
国防総省はレビューについて、AUKUSを「最も強固な基盤」に乗せる機会を見いだしたと説明するにとどまり、具体的な提言は公表していない。報道によれば、豪州が米英の造船ラインに拠出する資金の使い道や、米国から豪州へのヴァージニア級潜水艦引き渡し時期などで、調整案が示された可能性がある。
豪政府は新たに「ディフェンス・デリバリー・エージェンシー」を設け、巨額プロジェクトの管理強化を進める方針だが、レビュー全文は米側の判断に委ねられ、国内での説明には限界が残る。数十年に及ぶ支出と技術リスクをどう分担するのか――米国の支持が確認された今も、その問いへの答えはまだ見えていない。
