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日本銀行は12月17日、2025年7〜9月期の資金循環統計(速報)を公表した。家計が保有する金融資産は2286兆3350億円と、統計上の最高水準になった。内訳を見ると、株高の恩恵を受けた株式等や投資信託の伸びが目立つ一方、現金・預金が引き続き厚い。
増えたのは「稼いだ」より「値上がり」かもしれない
今回の数字は、家計が新たにお金を生み出したというより、持っている資産の評価が上向いた側面が大きい。資金循環統計は家計や企業、政府などの資金の流れと残高を一覧にする統計で、株式などは時価で評価される。相場が上がれば残高も膨らむ。
実際、家計の金融資産は国内株高に押し上げられた。Reutersは2025年8月にTOPIXが3,000を初めて上回り、最高値を付けたと報じた。日本経済新聞の指数サイトも9月末の日経平均が月間終値ベースで最高値を更新したとまとめており、9月末時点の家計資産にはこうした市場環境が映り込む。
現金・預金が約半分、伸びるリスク資産
内訳では、現金・預金が約1122兆円で前年比0.5%増と、規模の大きさがまず際立つ。全体のほぼ半分を占め、家計の「守り」の厚さを示す形だ。一方で、増え方という点では株式等が約317兆円で同19.3%増、投資信託が約153兆円で同21.1%増と、リスク資産の伸びが上回った。
ここで注意したいのは、残高の増加が必ずしも「買った量の増加」と一致しないことだ。時価評価の統計では、価格変動だけで残高が動く。見かけの資産増が頼もしく見えるほど、逆回転したときの目減りも同じ速度で起こり得る。家計の選択は、増えた数字をどう受け止めるかから始まる。
新NISA後の家計、増えた「投資」をどう整えるか
資産形成の裾野を広げる制度面の追い風として、新しいNISAがある。金融庁は、2024年1月から制度が拡充・恒久化され、長期・積立・分散投資を後押しする枠組みだと説明してきた。制度が家計の行動を変える一方、資産の増減が市場に左右される局面では、売買の判断が家計側の負担にもなる。
投資が広がるほど、運用の「設計」が重要になる。たとえば投資信託は、商品選びや積立設定、相場急変時の耐え方まで、やることが増える。現金・預金の比重が高い家計ほど、急にリスクを取り過ぎない配分調整が効くが、反対に投資比率を上げるなら時間分散の徹底が前提になる。
次に問われるのは、資産高が生活の安心に結びつくか
家計の金融資産が最高水準でも、家計が体感する豊かさは一様ではない。株式や投資信託を持つ層には追い風でも、保有が少ない世帯には「数字だけが遠い」ままになり得る。資産の伸び方が偏ると、物価上昇局面での生活防衛の手段も世帯ごとに差が付く。
当面の焦点は、相場の変動が家計の消費や心理をどう揺らすかだ。株高で膨らんだ残高は、下落局面では縮む。そのとき、家計は現金を厚くして守るのか、積立を続けて波をならすのか。過去最高という見出しの裏で、家計の「耐久力」を測る局面に入っている。
