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ナイジェリア北東部ボルノ州で2025年12月14日、カメルーン国境に近いプルカ町付近のフィルギ（Firgi）軍事拠点が自爆攻撃を受け、少なくとも兵士5人が死亡したと治安当局者と地元民兵が説明した。軍は攻撃自体は認めた一方、死者については確認していない。前線の出来事が「数字」になり切らないまま、国境地帯の住民生活と支援の脆さを揺らしている。
遺体搬送を担うのは、地元の「自警」だった
AFPが伝えた治安当局者と民兵組織の説明では、標的となったのはボルノ州の町プルカ近郊の軍事拠点で、周辺は山地と国境線が近い。民兵の一員は、現場周辺で複数の遺体を確認し、負傷者や遺体の搬送にも関わったという。軍の拠点が攻撃される瞬間だけでなく、その後の搬送や医療への接続を地域側が補う構図が、治安の綱渡りを浮き彫りにする。
軍は死者を認めず、現場と発表の温度差が残る
TRT Afrikaなどによれば、軍の北東部担当報道官サニ・ウバ中佐は、部隊が襲撃者を制止しようとした経緯や、兵士に負傷者が出たことを説明した。一方で、民兵側が語る死者数は追認していない。攻撃の有無だけでなく被害の大きさが食い違うと、住民の避難判断や支援団体の行動計画、さらには流言の拡散にも直結する。戦闘の前線ほど「情報の空白」が二次被害を生みやすい。
国境の山地が、戦闘と人道危機を同時に深くする
自爆は、ボコ・ハラム（2009年に武装蜂起したイスラム過激派組織）が勢いを持っていた時期の象徴的な手口の1つだが、近年は頻度が下がったとも指摘されてきた。それでも国境地帯では拠点襲撃が続き、兵站や見張りの隙を突く形で被害が積み上がる。山地や国境線は、武装勢力にとって移動と潜伏を容易にし、治安側にとっては監視と補給の負担を増やす。
同じ地域は、避難の長期化と食料危機も抱える。WFPは北東部で約230万人が暴力と不安定さで故郷を追われているとし、EUの人道支援当局も北東部の避難民規模を示している。軍事拠点への一撃は前線の損耗にとどまらず、道路の安全や支援の到達をさらに不確実にする。国境地帯では、軍と住民の双方を守る仕組みの再設計が急務だ。
