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ニューヨークの国連総会の合間、2025年9月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領はトランプ米大統領と会談した。会談後に出演したFOX番組で「トランプ氏は習近平氏の態度を変えられる」と期待を示し、トランプのSNS投稿を「前向きなシグナル」と受け止めた。トランプは本当に中国を動かせるのか？
ニューヨークの短い会談が伝えたもの
国連総会の喧騒の中で交わされた短い手談と、その直後の言葉が思いの外、大きな波紋を広げている。ゼレンスキー氏は、トランプ氏との会談後にメディアに向かって、トランプ氏が習近平氏の態度を変える力を持つかもしれないと述べた。こうした発言は、単なる期待表明にとどまらず、ウクライナ側が米中の大国間の“力の関係”を和平のために積極的に動かそうとしていることを示している。トランプ氏自身も同日、SNSでウクライナが戦前の国境を取り戻す可能性について肯定的な投稿を行い、これをゼレンスキー氏は「サプライズだが前向きなシグナル」と受け止めた。短い会話と短い投稿から、外交の潮目が変わるのか、あるいは一時的なパフォーマンスに終わるのか、関係各国の今後の動きが注目される。
“関税”という強いカードとその現実
舞台裏では、トランプ政権が中国やインドによるロシア産原油購入に対して強硬策を探っている。報道によれば、トランプ氏は欧州連合に対し、購入抑止のため中国やインドに対して最大で100％の関税を課すよう働きかけたとされる。関税は制裁とは性格が異なり、関税を課すには貿易ルールや手続き上の壁があるため、実現には大きなハードルが伴う。だが、もし関税という“経済的圧力”が現実の手段として使われれば、ロシアへの資金流入を断つ新たな道が開ける可能性がある一方で、世界のサプライチェーンやエネルギー市場に波及する影響も無視できない。ゼレンスキー氏はインドについては「おおむね」ウクライナ側に立っていると評価し、引き留める努力が必要だと述べているが、実際には各国のエネルギー事情や外交的計算が絡み合っており、単純な“善悪”では割り切れない現実がある。
中国を揺さぶれるのか、ウクライナの選択肢
ゼレンスキー氏が最も難しいと評したのは中国の扱いだ。ウクライナ側は、中国が今のところロシアを支援することが自国の利益になっているとの懸念を示している。言い換えれば、北京がロシアに対して和平を強く促す動機をどれだけ持てるかは不透明だ。中国側は公的には政治的解決を支持し、中立的な立場を強調しているとの表明もあるが、具体的な圧力のかけ方については「現時点では未確認」の点が多い。ここで問いたいのは、もしトランプ氏が本気で習近平氏の心証を変えようとするならば、どのような“交換条件”や説得材料が有効なのかという点だ。経済的な共同利益や地政学的な安全保障上の約束か、あるいは国際舞台での体面にかかわる譲歩が必要なのか。どちらにせよ、中国が動くかどうかは、単なる一言の説得ではなく、複数の重い利害関係の再調整を伴うだろう。こうした複雑さを前に、ゼレンスキー氏が期待するほど容易に事態が動くとは限らないし、詳細はまだ見えていない。
短い会談と一連の発言は、戦争終結に向けた新たな火種にも希望にもなり得る。だが外交は即効薬ではなく、交渉の積み重ねが必要だという現実も忘れてはならない。今後、各国がどのカードを切り、どのカードを温存するのか――読者自身なら、どの選択が現実的で、どの選択がリスクを伴うと考えるだろうか。現時点では未確認の点も多く、続報を追いながら冷静に見極めたい。
