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中国の王毅外相が3日、北京でフランスのバロ外相と会談し、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を改めて批判した。中国側は自らの立場を詳しく説明した上で、フランスに対し「引き続き理解し支持してほしい」と求め、日中の対立が欧州外交の場にも広がりつつあることを印象づけた。
欧州外相との場で広がる波紋
北京での会談について、中国外務省の発表は、王氏が高市首相の台湾有事に関する答弁を取り上げ、「日本の現職指導者による誤った言動の本質と深刻な危害」を説明したと紹介する。中国側は台湾を自国の一部と位置づけており、武力行使を示唆する発言と受け止めて強く反発している。
同じ場で王氏は、第二次大戦の戦勝国としての立場を強調し、フランスに対し中国の主張を理解し続けるよう求めた。ABEMA TIMESによれば、バロ外相は「1つの中国」政策を堅持する考えを示しており、欧州側は台湾海峡の安定を重視しつつ、日本と中国の対立には一定の距離を保とうとする姿勢をにじませている。日本の外交当局にとっては、欧州のパートナーがどこまで中国の主張に同調するのかが、新たな不安要因となりつつある。
欧米を巻き込む対日キャンペーンと日本の課題
王氏は11月下旬にもタジキスタンでの外相戦略対話後、高市首相の答弁は「レッドラインを越えた」と発言し、日本が台湾問題を口実に歴史を逆行させようとしていると非難したと、共同通信などが伝えた。さらに12月初旬にはロシアのラブロフ外相らと会談し、「日本の極右勢力が地域の平和を壊そうとしている」と述べたとT COMニュースが報じており、日本批判を欧米や周辺国との対話に持ち込む動きを強めている。
一方、日本側も説明戦に力を入れる。茂木外相は2日の記者会見で、高市答弁をめぐる日中関係の悪化を踏まえ、各国に日本政府の立場を丁寧に説明していると強調した（神戸新聞NEXTなど）。台湾有事が日本の存立に関わり得るとの認識は従来の政府見解と変わらないとしつつ、中国の主張との違いをどう伝えるかは難しい舵取りだ。中国が欧米との連携を強調する中、日本が同盟国や欧州に「地域の安定に責任を負うパートナー」として認識され続けるかどうかが、今後の外交環境を左右していく。
