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中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射を巡り、中国側が「事前通告」の証拠だとして音声データを公表した。これに対し小泉進次郎防衛相は12月10日、飛行訓練開始の連絡は受けたものの、規模や区域が示されず安全確保に足りなかったと強調し、訓練海空域を示すNOTAMや航行警報も出されていないと改めて反論した。通告の有無を巡る食い違いは、現場の緊張をどう左右するのか。
現場の安全、揺れる「事前通告」への信頼
中国国営メディアは、中国海軍艦艇が空母「遼寧」の艦載機訓練について日本側に事前通告したとする無線交信の音声を公開した。録音では、中国側が中国語と英語で訓練開始を知らせ、日本側艦艇が英語で受信を応答したとされる。だが小泉氏は、このやり取りだけでは自衛隊機が危険を避ける判断材料にならないと指摘する。
実際にレーダー照射を受けたのは、沖縄南東の公海上で中国機を監視していた航空自衛隊F-15だ。小泉氏は、通告に訓練の範囲や高度層、参加機数など具体的条件が示されていなければ、前線のパイロットは相手と距離を取るべき空域を特定できないと説明し、「結果として安全を高める通告とは言えない」との認識を示した。
防衛省によれば、今回のF-15は領空侵犯の可能性を見極めるために緊急発進し、国際法上の公海上空で一定の距離を保って飛行していたとされる。中国側が主張する「通告済みの訓練区域」に日本機が入ったのかどうかで評価は分かれるが、現場の乗員から見れば、どの情報を信頼して避航行動を取るかが生死に直結する。
NOTAMなき訓練とレーダー照射、広がるすれ違い
小泉氏が重ねて言及したのが、航空情報NOTAMや航行警報の不在だ。大規模な射撃訓練やミサイル発射では、各国は通常、開始・終了時刻や危険区域を国際的な掲示板を通じて公表し、民間機や他国軍機が近づかないよう図る。今回、中国軍によるその種の公式な通告は確認されておらず、日本側は「安全確保のルールが守られていない」と問題視している。
防衛省の公表によれば、12月6日には「遼寧」から発進したJ-15戦闘機が、沖縄南東の公海上で航空自衛隊F-15に対し2度、数分から30分近くにわたりレーダーを照射したという。日本政府は「安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」として中国に抗議した。一方、中国外務省は探索用レーダーの通常運用にすぎないと主張し、日本機が訓練海空域に50kmまで接近して「妨害した」と逆に非難している。
通告の形式と内容をどう位置づけるかで、同じ出来事の評価は大きく変わる。米国などは日本側の説明を支持し、レーダー照射を偶発的な衝突を招きかねない危険なエスカレーションとみている。軍用機の接触が日常化するなか、日中双方が互いのリスク認識と手順を共有できなければ、「言った・聞いていない」の応酬は繰り返され、防衛現場と市民の不安は長く残り続けるだろう。
参考・出典
- Radar Illumination of JASDF Aircraft by Chinese Military Aircraft
- Radar illumination to Self-Defense Force aircraft by Chinese military aircraft
- China Releases Audio Data over Radar Incident
- China releases audio to say it notified Japan of drill in radar incident
- Japan did not aim radar at Chinese jets during Saturday's incidents, defence minister says
